ライジング・ドラゴン
これは、ジャッキー・チェンの新作アクション。
主演の他、製作・監督・脚本・武術指導・作詞・主題歌・・・と、１５役も務め（これはギネスレコード級らしい）、作り上げたこの映画、還暦近いジャッキー・チェンの本格アクションとしては最後とされており、これまでのジャッキー・チェン映画の集大成と呼べる作品と言われています。
ただ、試写の評判はあまり芳しいものではなかったとの話を聞いており、幾ばくかの不安を抱えて劇場に行ったのですが・・・
清王朝時代、第二次アヘン戦争の戦乱の中で円明園から略奪された、十二支を象った中国国宝級のブロンズ像「十二生肖」。
高値で落札されている十二生肖の未発見の４体を探し出すため、利益のためなら悪辣な手段をも厭わない古美術ディラーのＭＰ社は、トレジャー・ハンターのＪＣを雇うが・・・
最近、ドラマ性の高い歴史もの映画への出演が続き、本来の持ち味の軽妙なアクションを表に出す事の少なかったジャッキー・チェンですが、本作は、久々にアクションてんこ盛り。香港映画時代のジャッキー・チェン映画を思わせる内容となっています。
しかし、アクションやノリを優先、物語が物足りないものになってしまっている、香港映画の悪癖まで引き継いでしまっているのはちょっと勿体ない。
この映画では、ＪＣが悪徳ディーラーの片棒担いでいる、と言う冒頭の展開から感情移入がし辛いものがありますし、トレジャー・ハント（宝探し）と言うことで、中盤、安易に挿入された南の島での海賊とのドタバタ劇のぬるさ加減はどうにかして欲しかった所。
確かに、ジャッキー・チェンの本領がアクション・コメディにある、とは言っても、現在の映画としての作り込みが欲しいもの。ジャッキーひとりで頑張るのに限界があるのであれば、物語や脚本は実力者に任せた方がいいのではないでしょうか？
（しかし、あの「パイレーツ・オブ・カリビアン」紛いの海賊たち、日本語を喋っていた、と言うことは日本人設定なのか・・・やはり、中国人にとって、倭寇以来、日本人＝海賊のイメージがあるのだろうか？）
ただ、相変わらずのスタントなし、体当たりで挑むジャッキー・チェンのアクションは嬉しい事ながら健在。
冒頭のローラーブレードスーツ（映画登場は初めてではなく「イエスマン」のエンドロールで観た事があります）は、スピード感が希薄で、正直、外したように思います――それでも、映画導入部のつかみとしては機能しています――が、後半、ＭＰ社に乗り込んで行って見せる様々なアクションは正に本領発揮、と言うところ。
この体術を以て、この演出を成立させるのはさすがジャッキーだと感心しました。
ただ、こうしたアクションに、既に別の映画で観たような、既視感があるのも事実。
ある意味、正しい集大成ではあるのでしょうけれど、ちょっと新味が欲しいようにも思いました。
これ観ていると、アクションもまだまだやれそうな気もしますが、まぁ、この映画のようにノースタントで身体を張り、ワンマンショーで映画を作るのはこれっきり、と言う事なのでしょう。
既に「エクスペンダブルズ３」の出演打診も、「脇役以上の役で」を条件に承諾したと言うウワサを聞こえて来ていますし、まだまだジャッキーにはスクリーン出会える事と思います。
（２０１３年 ４月１３日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
ジャッキー・チェン
■出演
ＪＣ ・・・ ジャッキー・チェン
（その他のキャスト）
クォン・サンウ ジャン・ランシン ヤオ・シントン リアオ・ファン ローラ・ワイスベッカー
アラー・サフィ オリヴァー・プラット ケイトリン・デシェル チェン・ボーリン スー・チー
ダニエル・ウー ジョアン・リン
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ジャッキー・チェン最後のアクション超大作！
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