ザ・マスター
THE MASTER
これは、“ＰＴＡ”こと、ポール・トーマス・アンダーソン監督の新作。
実在の新興宗教「サイエントロジー」をモデルにした映画、と言う事で、ハリウッドにも信者が少なくない「サイエントロジー」をどのように描くのか、期待していました。
第二次大戦中、海軍兵士だったフレディは、戦時中にアルコール依存症となり、復員後、度々トラブルを起こして職を転々としていた。
彼の特技は、アルコール分を含む液体から密造酒を作り出すこと。
ある農場で働いていたフレディは、密造酒を飲ませた同僚が倒れた事で「毒を飲ませた」と仲間に追われ、停泊していた船に潜り込む。
程なく出航した船で、彼はランカスター・ドッドと言う男に出会う。
ランカスターは、「ザ・コーズ」と言う団体のリーダーとして、多くの支持者に囲まれていた。フレディは、ランカスターと言う人物に引きつけられ、行動を共にするようになるのだが・・・
「サイエントロジー」と言えば、トム・クルーズやジョン・トラボルタが熱心な信者である事からも知られた新興宗教。
創始者は、小説家でもあるＬ・ロン・ハバートで、その小説はトラボルタも出演して映画化もされました。
映画のランカスター・ドッドと言う人物は、このＬ・ロン・ハバートをモデルとしており、彼がサイエントロジー教会を設立した１９５４年前後の時代を舞台としています。
これは「サイエントロジー」を題材にしながらも、「サイエントロジー」そのものを描く映画ではありません。
（その意味では、ちょっと期待外れな部分もありました）
それでも、その“教義”がいかなるものかを伺わせる描写はありますし、ランカスターの描写から、Ｌ・ロン・ハバートと言う人物像をイメージする事も出来ますが・・・
また、フレディの妄想かもしれませんが、団体のパーティーで女性会員が全員全裸になっている異様なシーンも描かれています。
（エイミー・アダムスの貴重なフルヌードを見る事が出来ます）
しかし、この映画の中心となるのは、ランカスターとフレディの２人の関係です。
フレディは、ランカスターには強く惹かれながらも、「ザ・コーズ」の熱心な信者になる訳ではなく、友情と言うほど親しくもなく、義理の親子・兄弟と言う関係でもありません。
恋愛関係にも近い結びつきでありながら、それでも同性愛的関係になる訳でもなく、それでいて、フレディは強い影響を受け、お互いに依存もしている・・・その関係を映画ははっきりとは描きません。
でも、それでも判るのは、お互いの魂が結びついている、としか言い様がない不思議な関係。
それは偶然に始まり、気まぐれに終わります。
それでも、それはフレディの人生を変える出会いであったのは間違いありません。
これは、そんな人と人との間にある「出会いの不思議」を描いた映画なのです。
（２０１３年 ３月２４日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督・脚本
■出演
フレディ・クェイル ・・・ ホアキン・フェニックス
ランカスター・ドッド ・・・ フィリップ・シーモア・ホフマン
ペギー・ドッド ・・・ エイミー・アダムス
（その他のキャスト）
ローラ・ダーン アンビル・チルダーズ ラミ・マレク ジェシー・プレモンス ケヴィン・J・オコナー
クリストファー・エヴァン・ウェルチ ジョシュア・クローズ
■コピー
彼が信じたものは、神か悪魔か。
■Ｌｉｎｋ
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