オズ
はじまりの戦い
これは、ライマン・フランク・ボームの人気童話「オズの魔法使い」の前日譚に当たる映画。
「魔法の国」の“偉大な魔法使い”オズが誕生するまでを描きます。
カンザスのサーカス団と共に旅回りの興業を続ける奇術師・オズ。
いつか大物になりたい、と言う夢はあるのだけれど、貧乏暮らしと、女と見れば手当たり次第に口説く女癖の悪さがあって、恋人も離れて行った。
ある日、サーカス団の仲間の彼女に手を出した件で騒動を起こした彼は、気球に飛び乗り難を逃れた・・・が、一難去ってまた一難。今度は大きな竜巻に巻き込まれてしまう。
そうして、竜巻から放り出された先は、不思議な「魔法の国」だった。そこで出会った美女セオドラに、“偉大なる魔法使い”と誤解されたオズは・・・
サム・ライミ監督だけに、らしさを期待しもしましたが・・・らしさと言えば、相変わらず女の趣味が悪い（普通、ミシェル・ウィリアムズとミラ・クニスの役柄は逆でしょう。ミラがミシェルの美しさには嫉妬しそうにないもの）くらい。
オズの女癖の悪ささえ除けば、いかにもディズニー映画らしい単純明快な物語となっています。
どぎつい程の極彩色に彩られた“魔法の国”ビジュアルも、これまた見事なほどにディズニーワールドを体現。正に、往年のディズニーアニメのような（まぁ、実際、ＣＧで「描かれた」ものではあるのですが）世界を作り出しているのもいい。
ただ、気になったと言うか気の毒だったのはセオドラですね。純真さ故にオズに騙され、更に姉に利用され・・・憎悪故に姿を変え、敵対して行くようになるのは、その原因をオズが作っているだけに、いささか釈然としないものが残ってしまいました。
クライマックスの、魔女からのエメラルドシティ奪還と、オズが“偉大な魔法使い”となる見せ場のキーとなるのは何と「映画」です。
特殊効果と、映像マジックにより、そこにはないものを作り出して幻惑する、と言うのは正に映画そのもの。
オズは、正に映画によって“偉大な魔法使い”となり、「魔法の国」に君臨することになる・・・これぞ、サム・ライミ監督が映画に捧げたリスペクトの最たるものではないでしょうか。
そう、「魔法の国」とは「映画の国」、と言うことなのですから・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
サム・ライミ
■出演
オズ ・・・ ジェームズ・フランコ
グリンダ ・・・ ミシェル・ウィリアムズ
セオドラ ・・・ ミラ・クニス
エヴァノラ ・・・ レイチェル・ワイズ
（その他のキャスト）
ザック・ブラフ ビル・コッブス ジョーイ・キング トニー・コックス アビゲイル・スペンサー
ブルース・キャンベル テッド・ライミ
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魔法の国に迷いこんだ奇術師と、３人の魔女たち その出会いは、美しすぎる戦いのはじまり――
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