グッモーエビアン！
これは、吉川トリコの同題小説を、麻生久美子と大泉洋主演で映画化した、ちょっと変わったホームドラマ。
物語の語り手は、かつてパンクバンドをやっていたシングルマザーのアキと暮らす、中学３年のハツキ。
アキには、もう１５年も家族同様に暮らしているヤグと言うパートナーがいるのだが、ある日、「世界ツアーに出る！」と家を飛び出したまま放浪の旅を続け、もう１年以上、帰って来ない。
ある日、そんなヤグがひょっこり帰宅。
以前のように３人で暮らし始めるのだけど、何故か、ハツキはヤグを受け入れられなくなっていた・・・
この映画、大泉洋演じるヤグのキャラクターがかなり特殊なので戸惑いますが、描かれているドラマは、実は普遍的なものであったりします。
中心となるのが、子供だったハツキが、自分と、その自分を生み育てた家族を受け入れて、ひとりの大人として家族を再構築する話で、それ自体は極めて真っ当な普遍的な成長のドラマなのです。
それに、それまでバランスのとれていた家族に風来坊が舞い戻って来て一騒動、と言うのは、それこそ「寅さん」シリーズそのままの構成と言ってもよく、ある意味「よくある」タイプの話かも知れません。
物語の語り手はハツキなのですが、クレジットされる主演は、麻生久美子。
ただ、ちょっとロックと言うイメージではないかなぁ・・・ヤグ役の大泉洋、寝てる時以外は、静かにしていられない役柄にピタリとハマってこちらは文句なし。
ハツキ役の三吉彩花も、演技巧者の２人に負けない存在感を出しているのは立派です。
また、能年玲奈はいい味出していたなぁ、と思います。
ロックな映画とは言っても、ヤグとアキがロックを歌うのはラストしかありません。
そのステージ、大泉洋の弾けっぷりとシャウトには感心しましたが、アキ役の麻生久美子、何とか格好をつけるのが精一杯で、ノってる感じを見せられていないのは、ちょっと残念でした。
そんな意味で、「ロックな映画」と言うにはいささか物足りない仕上がりですし、名古屋を舞台（しかし、大半は横浜で撮影されたらしい）としながらも、名古屋ならではのムードを活かせていないのも勿体ない。
それでも、ハツキの進路選択を巡って、家族が再構築されていく様は感動的で、これには思わず涙しました。
（２０１３年 １月 ６日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
山本透
■出演
アキ ・・・ 麻生久美子
ヤグ ・・・ 大泉洋
ハツキ ・・・ 三吉彩花
トモちゃん ・・・ 能年玲奈
（その他のキャスト）
山野海 パンチ佐藤 柚木彩見 倉橋悦子 原田裕章
小泉彩 竹村哲 MAH 塚地武雅 小池栄子 土屋アンナ
■コピー
ROCKじゃなきゃ、家族じゃない!?
■Ｌｉｎｋ
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