「ザ・コンテンダー」

　定時日の月曜、会社上がって、またまた映画館へ。
　今日、観たのは、副大統領に指名された女性議員を巡る政治ドラマ、「ザ・コンテンダー」です。

　任期途中で急死した副大統領に代わり、指名されたのは、ベテランの女性議員、レイン・ハンソン。
　しかし、女性副大統領の指名に、議会はいい顔をしない。
　副大統領就任を決定する司法委員会の聴聞会の議長を務めるラニヨン委員長は、対立候補のハザウェイ知事を推していたこともあり、ハンソン追い落としの為、彼女の大学時代のセックス・スキャンダルを材料にして彼女を追い詰めて行く･･･

　女性の政界進出が目立つようになった現在、近い将来に確実にあり得るであろう、女性副大統領就任と言う事態を、ホワイトハウスと議会を舞台に、かなりリアルに描いたのが本作品です。
　まるっきりフイクションでありながら、いたずらに派手な描写に走ることなく、政治世界の内舞台を丁寧に描く事で、迫力と面白さを生み出しているのは好印象。これはなかなか骨太の作品です。
　物語の中心となるのは、レイン・ハンソン議員の追い落とし工作として仕組まれたセックス・スキャンダルに対する彼女の対処と、仕組んだ側のラニヨン委員長の策謀になるのですが、見所は、このスキャンダルを巡る登場人物の駆け引きのスリリングさです。
　裏工作に根回し、議会工作にマスコミ利用と、何でもありのラニヨン委員長の追い落とし工作と、それに対する、大統領サイドの思惑。スキャンダルに対しては黙秘を貫き、自らの政治姿勢を保ちつつ、決して相手と同レベルの泥仕合を行わないとするハンソン議員の毅然さ。
　それにハンソン議員が、何故事件に対して黙秘を通すのか、と言う事と、事件そのものの謎、対立候補のハザウェイ知事の英雄的行為の不自然さを調べるFBI捜査官・・・そうした大小様々な謎を映画は終盤まで引っ張り、観てるこっちを引きつけます。

　ハンソン議員を演じるのはジョーン・アレン。ベテラン女性議員と言う、難しい役柄を好演。
　対立するラニヨン議員は、一筋縄ではいかない悪役と言えばお馴染みのゲイリー・オールドマンが演じていますが、なかなか正体を見せない老獪な政治家をリアルに演じていたのはさすがです。
　（尚、ゲイリー・オールドマンはプロデューサーとして、この映画製作にも関わっています）
　また、若手議員をクリスチャン・スレイターが演じていましたが、美少年だったスレイター、すっかり猿顔のオジサンになりましたねぇ。
　（ほんと、誰かと思いました(^^;）

　終盤でその謎を解き、クライマックスは、アメリカ映画ならではの大演説。
　アメリカの理念を説き、そして正義が勝つ、と言う展開は、いかにもアメリカ映画的ではあるけれど、やはり痛快。
　「ＴＨＥ　ＥＮＤ」と、しっかりエンドマークも出て、いかにも一件落着、と言う感じの終わり方は、ちょっとファンタジー的でありましたが、政治劇をあまりリアルにやられても気持ちよくはないだろうと思うので、これはこれでいいでしょう。
　２時間以上ある比較的長い映画ですが、この地味な内容で、最後まで飽きさせないのはさすが。
　これはなかなか見応えのある１本です。

　（６月２５日　ワーナーマイカルシネマズみなとみらいにて）

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