ウォリスとエドワード
英国王冠をかけた恋
これは、「王冠をかけた恋」として世間を騒がせた英国王エドワード８世の結婚問題を描いた映画。
エドワード８世は、離婚歴があり、当時は人妻でもあったアメリカ人のウォリス・シンプソン夫人と結婚するため、王位を退いてしまったのです。
監督はマドンナ。（これが２作目の映画になります）女性ならではの目線で、一般的には「ふしだらな悪女」とされるウォリス・シンプソンからの視点で、この事件を再構築して行きます。
物語は１９９８年のニューヨークで始まります。
高名な分析医である夫と結婚して、人も羨む暮らしをしているウォーリーだが、その夫婦関係はすっかり冷え切っていた。子供を作ろうとするウォーリーを、夫は煩わしく思い、他に女を作ってろくに自宅に戻らない。彼女にとって結婚は自分の人生を閉じ込める牢獄のようなものだった。
その頃、ニューヨークで、ウィンザー公夫妻（エドワード８世とウォリス）の遺品オークションが開催される事になり、ウォーリーは遺品が並ぶ展示会場を連日のように訪れ、夫妻の遺品を眺めながらウォリス・シンプソンという女性の生き方に思いを馳せるのだった・・・
この映画のヒロインであるウォーリーは、「王冠をかけた恋」を現代のシンデレラストーリーと憧れた彼女の母親により、ウォリスにちなんで名付けられました。
しかし、現実の「王冠をかけた恋」は、そんなロマンチックなラブストーリーではありませんでした。
ふたりは、この結婚が不幸を生むと判っていながら、その結婚を避けられませんでした。
この辺り、不条理と言えば不条理なのですが、しかし、恋と言うのはそうしたものなのかも知れません。「恋は盲目」と言う様に、恋は周りを見えなくさせる事があるからです。
映画は、その辺りの様子をかなり詳しく、リアルに描いて行きますが・・・その表現に、現代を生きる女性、ウォリスのエピソードを対比させつつ描いたのが、この映画の特徴であると共に問題。
不幸な結婚へと堕ちていく女性と、不幸な結婚生活から抜け出そうとする女性・・・狙いとしても面白く、表現手法も挑戦的ではあるのですが、これはいささかトリッキーに過ぎたのではないでしょうか？
（ＰＶならいいかも知れませんが、さすがに長編映画では・・・）
ラストシーン、夫と別れ、貧しいけれど芸術を理解し、自分を愛してくれる男性とめぐり合い、その子供を授かって幸せな未来に手をかけたウォーリーが切り出した一言には驚きを通り越して唖然。
ここまでシンデレラストーリーを破壊しておいて、尚且つ、シンデレラになろうとするのか・・・これだから、女性の考える事は判りません。
これが女の性と言うのなら、女性には、ウォリス・シンプソンを悪女ではなく、シンデレラと見るのも当然でしょう。
そして、マドンナまでもが、そんな思いを抱いているのにも驚かされました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
マドンナ
■出演
ウォーリー・ウィンスロップ ・・・ アビー・コーニッシュ
ウォリス・シンプソン ・・・ アンドレア・ライスブロー
エドワード８世 ・・・ ジェームズ・ダルシー
（その他のキャスト）
オスカー・アイザック リチャード・コイル デビッド・ハーパー ジェームズ・フォックス ジュディ・パーフィット
ジョフリー・パーマー ナタリー・ドーマー ローレンス・フォックス ハルク・ビルギナー
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