アルゴ
１８年間封印されてきた実話
これは、１９７９年のアメリカ大使館人質事件の陰で密かに行われたＣＩＡの大使館員救出作戦を描いたサスペンス映画です。
監督は、これが３作目の映画になるベン・アフレックで、自身、主役をも演じています。
１９７９年１１月、イスラム革命後のイラン。
アメリカ大使館が過激派らにより占拠され、大使館員らが人質となってしまう。だが、混乱の中、６人の大使館員が密か脱出、カナダ大使の私邸に逃げ込んだ。
脱出した大使館員が捕まればスパイ容疑で処刑される。
国務省の要請を受けたＣＩＡの人質奪還の専門家トニー・メンデスが、６人の救出のため立てた計画とは、ニセ映画を企画、大使館員を撮影のロケハンに来たカナダ人の映画クルーに仕立てて脱出しよう、と言う奇想天外なものだった・・・
早くも今年度のアカデミー賞有力候補と囁かれる、この映画、これは確かに面白い。
まず、題材に選んだ内容がいい。
正に奇想天外。事実でなければ、出来の悪いコメディにもなりはしない事が、現実に行われていた、と言う事がまずは衝撃的。
しかも、その重要な要素が「映画」なんです。
映画業界側の人間が、「ま、映画なんてのはそもそもいかがわしいものだからさ」と自嘲するように描いているのも面白い所です。
映画としては、紛れもない娯楽作でありながら、セクシーな美女が登場する訳でもなければ、色恋沙汰もありません。派手なアクションとも無縁ですし、描写自体は、ドキュメンタリータッチとも言える笑いの要素のないもの。
勿論、作戦は成功しているので、全員脱出出来るのは判っているのだけれども、それでもハラハラドキドキのサスペンスを盛り上げます。素朴ではありますが、その確かな手腕には舌を巻きます。
特に、飛行場に着いてからのサスペンスと言ったらこれ以上のものはありません。
事実を極端にねじ曲げることなく、映画を盛り上げるぎりぎりの綱渡り状況を生み出す脚色を随所に仕込んでサスペンスを盛り上げ、最後まで緊張感を緩めません。
ベン・アフレック、凄い映画を撮るようになりましたねぇ。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ベン・アフレック
■出演
トニー・メンデス ・・・ ベン・アフレック
（その他のキャスト）
アラン・アーキン ジョン・グッドマン ブライアン・クランストン スクート・マクネイリー クレア・デュヴァル
クリストファー・デナム テイト・ドノヴァン タイタス・ウェリヴァー マイケル・パークス カイル・チャンドラー
ヴィクター・ガーバー ケリー・ビシェ クリス・メッシーナ
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この《実話》は、フィクションよりも大胆
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