推理作家ポー
最期の５日間
これは、アメリカ文学史上の謎とされるエドガー・アラン・ポーの死に着目、その最期の５日間を描いた映画です。
この映画、原題は「Ｔｈｅ Ｒａｖａｎ」で、これはエドガー・アラン・ポーの代表的な詩、「大鴉」のこと。
ポーは、近代アメリカを代表する詩人であるため、映画原題は“詩人”を前面に出したタイトルになっているのですが、日本ではポーと言えば、探偵小説の創始者であり、怪奇小説の名手のイメージ。だから、邦題は「推理作家ポー 最期の５日間」となりました。
まぁ、映画の内容は、ポーの生み出した猟奇犯罪をモチーフにしたスリラー仕立てなので、邦題の方がむしろ実態に即している、と見る事も出来る訳ですが・・・
（ただし、「Ｒａｖａｎ」は、黒ずくめの服装を好んだポーのアダ名でもありました）
１８４９年、詩人にして作家のエドガー・アラン・ポーはニューヨークに戻る途中、ボルティモアを訪れた。
妻の死から立ち直るきっかけを与えてくれた恋人、エミリーに求婚するためだ。
だが、そのボルティモアで凄惨な事件が起きる。
通報に駆けつけた警官隊の前で、母娘が惨殺されたのだ。しかも、犯行現場となったアパートの一室は、中から鍵がかけられた密室だった。
捜査を始めたフィールズ刑事は、それが、エドガー・アラン・ポーの小説「モルグ街の殺人」の模倣と気づくが・・・
殺人犯が、既存の事件や物語の模倣犯罪をしでかすの珍しい事ではなく、これまでもそうした物語は幾つも作られているのだけど、この映画、いわば“大御所”であるエドガー・アラン・ポーを引っ張り出し、しかも、ポー本人を事件に巻き込んだ上で、推理させてしまう、と言うのが特色。
ポーの作品の読者である犯人と、その犯行動機については、この映画が推理ものである以上、ここでは書かない方がいいだろうけど、これには唸らされます。
この映画は、エドガー・アラン・ポー作品に対する愛情溢れるオマージュだと言えます。
ポーの作品を読んでいた方が楽しめる、と言う人もいますが、これはそうでない人でも楽しめる。
むしろ、そうでない人に、エドガー・アラン・ポーと言う人と、その作品を知って欲しい、と言うファンならではの熱い想いを込めた作品のように感じました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジェイムズ・マクティーグ
■出演
エドガー・アラン・ポー ・・・ ジョン・キューザック
エメット・フィールズ ・・・ ルーク・エヴァンス
エミリー・ハミルトン ・・・ アリス・イヴ
（その他のキャスト）
ブレンダン・グリーソン ケヴィン・マクナリー オリヴァー・ジャクソン=コーエン ジミー・ユイル
パム・フェリス ブレンダン・コイル マイケル・シャノン
■コピー
偉大なる作家エドガー・アラン・ポーは、なぜ死んだのか・・・？
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