ボーン・レガシー
これは、マット・ディモン主演で人気だった「ボーン」シリーズの最新作。
ジェイソン・ボーン同様、国家の陰謀に巻き込まれていくＣＩＡ工作員を巡るアクションですが、今回の主演は、最近話題のジェレミー・レナー。監督も交代しての仕切り直し（？）続編となりました。
ジェイソン・ボーンの逃亡とマスコミへの情報漏洩により、ＣＩＡ極秘プロジェクトの発覚を恐れた国家調査研究所のリック・バイヤーは、現在進行中の“アウトカム”計画の閉鎖を指示。関係者が次々と抹殺される事態となる。
“アウトカム”メンバーＮｏ．５のアーロン・クロスは、アラスカで訓練中に襲撃されたものの辛くも難を逃れ、操作された精神と肉体の維持に必要な薬物を入手するため、その管理を行っていた企業のマルタ・シェアリング博士とのコンタクトを取ろうとするが・・・
主役、監督が降板する事となっても、人気シリーズ続投を望む映画会社が編み出した苦肉の策、と言う感のある今回の新作。
もっとも、監督・脚本は、「ボーン」三部作の脚本を手掛けたトニー・ギルロイで、世界観も上手く共有されており、「ボーン」シリーズの裏話的なエピソードとしてはまずまず上手く出来ているように思えました。
激しいアクションばかりではなく、逃げる者、追う者、双方の視点から見る追跡のサスペンスもいいし、アーロンが見せる様々な工作員としての偽装工作なども興味深いです。この辺り、トニー・ギルロイ、脚本に盛り込んでも監督が活かしてくれてない事に不満があったのでしょうか、これまでにない、リアリティのある細部描写には感心しました。
また、そればかりではなく、アクションもなかなか。
特に後半、フィリピン・マニラ市街での追走、それからバイクチェイスは、凄い迫力とスピード感。これは見応えがありました。
しかし、己の記憶喪失と言う状態からの謎解きミステリーと、政府の陰謀を解き、それを問い質さんとする大きなドラマを含んでいた、これまでの「ボーン」シリーズに対し、単に、己の生存の為に逃げ回るアーロンのドラマは小さく、また「ボーン」本流から離れてしまった事は否めません。
また、今回持ち込まれた遺伝子操作と言うＳＦ要素は、いささか本作の持つリアリティ重視に反する部分もあり、今ひとつの印象。
もっとも、次作には、マット・ディモンの再登場も考えられているそうですし、今回は、トニー・ギルロイ監督の腕試しを兼ねた、「中継ぎ」のサイドストーリーと見るべき内容かも知れません。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
トニー・ギルロイ
■出演
アーロン・クロス ・・・ ジェレミー・レナー
マルタ・シェアリング ・・・ レイチェル・ワイズ
（その他のキャスト）
エドワード・ノートン スコット・グレン ステイシー・キーチ アルバート・フィニー オスカー・アイザック
デヴィッド・ストラザーン コーリー・ジョンソン ジョアン・アレン
■コピー
ジェイソン・ボーンは氷山の一角に過ぎなかった。
■Ｌｉｎｋ
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