エージェント・マロリー
ＨＡＹＷＩＲＥ
これは、アメリカの女子総合格闘技の女王と称される格闘家、ジーナ・カラーノを主役にしたアクション。
監督は、その、ジーナの強さと美貌に惚れ込んだスティーブン・ソダーバーグ。
物語は、ニューヨーク北部のダイナーで始まります。
人待ち顔の女の前に現れた男。
彼は突如、女を殴り倒し、連れ去ろうとするが、女の反撃を受け、関節技を決められて腕を折られてしまう。女は、男から奪った銃で、ダイナーの客を脅してクルマを奪い、クルマの持ち主の青年と共に逃走。
その車内で、マロリーと名乗った女は、青年にこれまでのいきさつを語り始めた・・・
ジーナに惚れたスティーブン・ソダーバーグ監督、この映画を、まるでアイドル映画か、プロモーションビデオのようなノリで作っています。
カメラは殆どジーナに寄り添い、それ以外の描写は最小限。ユアン・マクレガーや、マイケル・ファスベンダーと言う人気俳優たちは、全て彼女に殴り倒される為に出演しているようなもの。完全に彼女の引き立て役になっています。
マイケル・ファスベンダーにしたって美女の股間に顔を埋め、太股で挟まれると言うのは通常では役得の部類でしょうけど、彼女相手では貧乏くじもいい所。顔が写るのでスタントに代わって貰う訳に行かず、本気で締め落とされそうになっています。
まぁ、そこまでソダーバーグ監督が惚れ込むのも無理はない逸材と言うのは、映画を観れば明らか。美貌とスタイルに加え、抜群の身体能力。アクションを「演じる」ことの出来る女優はいれども、実際にここまで「闘える」女優はいないのでしょうから・・・
その彼女が見せるのは、得意のムエタイを中心に、この映画で特訓したグラッピングなどの関節技。
カンフーアクションのような丁々発止のやりとりではなく、重量感のある打撃を打ち合い、投げ、そして極める、いかにも「痛そう」なリアル・ファイトは見応えがありました。
この映画の最大の見せ場は、間違いなく、この、彼女の見せる格闘シーンでしょう。（勿論、ノースタントです）
ソダーバーグ監督、例によって時系列を入れ替えたトリッキーな構成を見せますが、これはむしろ逆効果。
彼女のアクションを見せるのであれば、構成はもっとシンプルに、頭を使わせず、アクションに集中出来るようにして欲しかったように思えました。
ラストカット、これから、と言う所で切ったのは、新「００７」でもやった、次作への布石、か。
ジーナ・カラーノは早くも「ワイルド・スピード」の新作への出演が決まっているそうですし、今後、そのアクションを観る機会が増えそうです。
その意味からしても、これは正に彼女のプロモーションフィルムなのかもしれません。
（２０１２年 ９月２９日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
スティーブン・ソダーバーグ
■出演
マロリー・ケイン ・・・ ジーナ・カラーノ
（その他のキャスト）
ユアン・マクレガー マイケル・ダグラス アントニオ・バンデラス マイケル・ファスベンダー
ビル・パクストン チャニング・テイタム マチュー・カソヴィッツ マイケル・アンガラノ
■コピー
ハリウッドの超豪華スター ＶＳ 総合格闘技界の女王
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