ロック・オブ・エイジズ
これは、ブロードウェイの大人気ロック・ミュージカルを映画化したもの。
１９８０年代のハリウッドを舞台に、当時のロックミュージックをたっぷり使った、異色のミュージカルです。
監督はミュージカル映画「ヘアスプレー」のアダム・シャンクマン。
物語の舞台となるのは、１９８７年のハリウッド。
歌手を夢見て、故郷のオクラホマからやって来たシェリーは、ライブハウス「バーボン・ルーム」で働きながら歌手を目指すドリューと出会い、恋に落ちる。
一方、「バーボン・ルーム」は、地上げ圧力と、地元議員夫人を中心とする反対派の行動により、経営が苦しくなっていた。
そこで、オーナーは、知り合いで、カリスマロッカーのステイシー・ジャックス率いる人気バンド「アーセナル」の解散ライブを企画、起死回生を図る。
そのライブの日、ステイシーの楽屋に出入りするシェリーの様子に、ただならぬものを感じたドリューは、その後、シェリーと衝突。店を辞め、誘われるままにメジャーデビューの道を歩き始め・・・
これは若いふたりが恋に落ち、仲違いして夢を見失ってしまう。しかし再会したふたりはよりを戻し、最後は一緒に夢を手に入れると言う、典型的な“ボーイ・ミーツ・ガール”のストーリー。
元の舞台では、店は困難を乗り越えて存続することになったものの、ふたりは故郷に戻ってしまうそうですが（舞台版は未見）、映画版は、その構成を大胆に改変。
ふたりの仲を割くきっかけに過ぎなかったステイシー・ジャックスの出番を大幅に増やし、彼の苦悩と再生のドラマを大きく描くと共に、ラストに華やかな成功の舞台を持って来る、と言うど派手な展開になりました。
まぁ、そうなったのも、ステイシー・ジャックスにトム・クルーズを起用したせいでしょうけれど、これはこれでなかなか痛快。
ロックと言うものが、そもそも小さくまとまることをよしとしないものでない以上、この改変は確かにアリ。これは、非常に気持ちのいいラストシーンでした。
そのトム・クルーズ、もう、ノリノリで、“ロックのカリスマ”を演じています。
これは、もう、怪演の域で、ロックのセックスのシンボルである在り続ける事の苦悩を演じ――これは、トップ・スターで在り続けるトム・クルーズ自身を重ね合わせているのでしょうか――よくも悪くも、この映画版を決定付けるものになっています。
実は、はらも当時は主人公らと同世代で、この時代の音楽は耳に馴染み、身体が覚えています。
そんな心地よさを覚えると共に、当時の音楽文化を思い出し、苦笑するやら、懐かしいやら・・・
メジャーデビューしたドリューは、希望するハードロックではなく、ポップソングを歌うアイドル・グループに仕立てられてしまうなど、「ああ、あったあった、こんなだったなぁ」と思うことがしばしばありました。
ちょっと気になったのは、トム・クルーズを始め、当時を知る“年長組”のキャストがノリノリなのに対し、若い主人公２人は、当時を再現させられることに馴染めないのか、ノリが悪いこと。
まぁ、２人にしてみれば生まれる前の話だものなぁ・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
アダム・シャンクマン
■出演
ドリュー・ポーリー ・・・ ディエゴ・ボネータ
シェリー・クリスチャン ・・・ ジュリアン・ハフ
ステイシー・ジャックス ・・・ トム・クルーズ
（その他のキャスト）
ラッセル・ブランド ポール・ジアマッティ キャサリン・ゼタ=ジョーンズ マリン・アッカーマン
メアリー・J・ブライジ アレック・ボールドウィン ブライアン・クランストン ウィル・フォルテ
ケヴィン・コーニン イーライ・ロス
■コピー
落ちぶれたロックスターが、夢を追う若者に出会った――
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