闇金ウシジマくん
金は貸す。ただし、人生と引き換えだ。
これは真鍋昌平の同題の人気コミックスを元にしたＴＶドラマの映画版。
闇金融を営む主人公・丑嶋と、彼の元を訪れる債務者たちの姿を描きます。
闇金融「カウカウファイナンス」は通常トゴ（１０日で５割）、ギャンブル目的の融資にはヒサン（日当たり３割）と言う法外な利子を取る高利貸しだ。どんな理由があろうとも金は貸すが、取り立ても容赦ない。
ギャンブル狂いの母親の借金を肩代わりさせられた鈴木未來は、楽に稼げるとの勧めを受けて出会いカフェでバイトを始める。熟女売春をしている母親のこと嫌悪している未來は、自分はウリ（売春）だけはしまいと思うが、店外デートで楽に稼げる事を知り、心が揺らぎ始める。
３台の携帯に溜め込んだ３０００人の人脈を武器にのし上がろうとする、イベントサークル「ＢＵＭＰＳ」代表・小川純は、自転車操業となっていたイベント運営で行き詰まっていた。２０００人を集める大イベントで大逆転を狙うが、会場代の資金すら集まらず、苦慮した小川は、悪友の勧めに乗って、闇金「カウカウファイナンス」をカモにしようと言う危険な賭けに出るのだが・・・
何があろうと無表情を貫き、冷たい瞳で債務者を見つめる丑嶋は、本来、主役ではなく裏方。
人生の修羅場でのたうち回る債務者こそが、この映画の主人公でしょう。
泥沼の借金地獄から、這い上がる者（未來）と沈んで行く者（純）を対比させつつ進める物語構成は、オーソドックスながら手堅いもの、と思いました。
好青年のイメージの強い林遣都に軽薄なチャラ男を演じさせ、風俗紛いの援助交際に走る未來にＡＫＢ４８のエース格・大島優子を起用と、キャスティングもなかなか挑戦的。
林遣都は好演していたけど、大島優子は、元々器用なだけに女優を無難以上にこなしてはいるものの、ちょいと覚悟が足りないか、と言う印象。借金まみれで、援交やるまで追い込まれたにしては、まだまだ笑顔がアイドルしているのです。ここは、もっと追い込まれた表情が欲しかった所です。
ただ、惜しいのは、“肉蝮”。
確かに、強烈なキャラクターではありますが、それ故に、丑嶋を喰ってしまっているような・・・小川純が追い込まれて行く描写はいいのだけど、それは、丑嶋をカモにしようとした、その報復で追い込まれた方がよかったように思います。
勿論、それは、この映画のみを観た印象であって、これまでＴＶで続いて来たドラマの延長線に映画があり、映画の後もまたドラマで続きが描かれるとすれば、また評価が変わるでしょうけれど。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
山口雅俊
■出演
丑島馨 ・・・ 山田孝之
鈴木未來 ・・・ 大島優子
小川純 ・・・ 林遣都
“肉蝮” ・・・ 新井浩文
（その他のキャスト）
崎本大海 やべきょうすけ 岡田義徳 ムロツヨシ 山下規介 野口綾奈
井出卓也 ジョーイベニ 森崎ウィン 花村想太 工藤大輝 清水大樹
日向丈 坂上麻美 鈴之助 中丸新将 田窪一世 古舘寛治 遠藤龍匠
村田啓治 金田明夫 雪子 手塚みのる 片瀬那奈 市原隼人
希崎ジェシカ 友田彩也香 中島ひろ子 内田春菊 黒沢あすか
■コピー
彼らがツイてなかったのは、この人と出会ってしまったこと。
■Ｌｉｎｋ
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