トータル・リコール
これは、フィリップ・Ｋ・ディックの小説「追憶売ります」をアーノルド・シュワルツネイガー主演で映画化したものを、コリン・ファレル主演でリメイクしたＳＦアクション。
ただし、これは「追憶売ります」の映画化ではなく、あくまで映画・「トータル・リコール」のリメイクで、クレジットにはその旨明記され、映画スタッフ名もクレジットされています。
世界戦争により、地表の大半が汚染され居住不可能になった近未来の地球。
被支配層である貧しい人々が暮らすコロニー（現・オーストラリア）に住むダグラス・クエイドは、ブリテン連邦（現・イギリス）で毎日、工場労働者として働く毎日から逃避するため、リコール社で記憶を買うことにする。
リコール社で買った記憶の中では、本物の体験と変わらない波瀾万丈の冒険を出来るのだ。
だが、リコール社で記憶を注入しようとしていたダグラスを、突然、武装警官が襲った。
訳の判らないながらも、ダグラスは見事な体術で警官を倒し、脱出に成功して自宅に戻ったのだが・・・
この映画、基本的な物語の流れは１９９０年に作られた「トータル・リコール」の映画に沿っています。
（バーホーベン監督の悪趣味さが出た“おっぱいが３つある女”もちゃんと登場）
また、コロニーの町並みの様子などは、同じフィリップ・Ｋ・ディック原作の「ブレードランナー」の影響を強く感じました。
ただ、オリジナルの「トータル・リコール」では肉体派アクション俳優のアーノルド・シュワルツネイガーが演じた主人公を、コリン・ファレルが演じるせいでしょうか、映画の雰囲気は大分変わりました。
アクション色が若干後退し、「何れが夢か現実か」と言う世界観や、記憶や意識、自我を問う場面などが描かれ、ＳＦらしさ、と言うか、ディックらしさが増した感があります。
ブリテン連邦とコロニーと言う２局化された世界を、地球を貫く巨大トンネルで繋いでいる、と言う設定も面白い。
これが終盤のクライマックスのサスペンスの舞台となるのもよく、物語としてはオリジナルよりもよく出来ていると思いました。
アクションの方は、基本的には逃走劇ばかりですが、肉体を使ったもの、ホバーカーによるカーチェイス、３次元エレベーターを使ったものなど、手を変え品を変えて見せるので飽きさせません。
あと、改変されたのは、前作でシャロン・ストーンが演じた主人公の妻役で、今回は、本作監督のレン・ワイズマンの妻でもある、ケイト・ベッキンセールが演じています。
前作では、主人公が記憶を取り戻した直後にあっさり射殺され「これで離婚だ」と退場させられましたが、今回は、しぶとく生き残り、最後の最後までダグラスを追いかけ回します。
これは、妻の出番を増やしたい、と言う思いからなのか、あるいは、監督の「妻から逃れたい」と言う願望が出てしまったものなのか・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
レン・ワイズマン
■出演
ダグラス・クエイド ・・・ コリン・ファレル
ローリー ・・・ ケイト・ベッキンセール
メリーナ ・・・ ジェシカ・ビール
（その他のキャスト）
ブライアン・クランストン ボキーム・ウッドバイン ビル・ナイ ジョン・チョー ウィル・ユン・リー
■コピー
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■Ｌｉｎｋ
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