ぱいかじ南海作戦
これは、椎名誠の同名小説を映画化したもの。
監督は「大人計画」の細川徹で、これが映画監督デビュー作になります。
勤務先の会社が倒産し、同時に離婚して妻にも去られた佐々木は、アパートを引き払い、商売道具のカメラと僅かな現金だけを持って南の島へ旅立った。
沖縄から更に東南の西表島だ。
行き止まりの道路の更に先、誰もいない島外れの海岸は、白い砂浜と青い海のい広がるパラダイスだった。佐々木は、そこで浜に暮らす４人のホームレスと知り合い、彼らと共に浜で暮らすようになる。
しかし、ある晩、週に一度の宴会で酔い潰れた佐々木が目覚めると、浜はもぬけの空で、佐々木の荷物もすべて消えていた。
ホームレスたちに荷物を盗まれたのだ。
完全に裏切られたのだが、不思議と彼らを恨む気にもなれず、ただ呆然とする佐々木。
そんな佐々木の前に、都会育ちの若者が現れて・・・
この映画、主演の安部サダヲを始め、ピエール瀧に斉木しげると言う個性派俳優を揃え、ヒロイン役には貫地谷しほりと佐々木希と言うなかなかの豪華キャスト。
安部サダヲのハイテンションな演技は、例によって周囲から浮きがちなのですが、この映画ではそれはむしろ狙い通りなのだろう、と思います。
この映画が描こうとするのは「大人の夏休み」。
忙しい日常を忘れ、非日常の世界に飛び込んだ男の話なのですから、浮いているのも当然でしょう。
しかし、この「夏休み」は、正に「男の子の夢」です。それも、小学生の男の子の。
常夏の楽園、美しい海と砂浜があり、“リアル”なものは排除されています。
大雨も降らず、勿論、台風は来ず、病気にはかからず、お金がなくても困らない。食事は、誰かが用意してくれて、片づけをする必要もありません。
（あ、小学生の夢なので、セックスもまだありません）
そんなパラダイスで、魚を捕り、ハンモックを作り、更には秘密基地もこしらえて、落とし穴を掘り、そして、敵の基地に殴り込み。
やってることは小学生と同じで、これを安部サダヲが童心に返ったように嬉々として楽しんでみせます。
これを、「非現実的」と切り捨てるのは簡単だけれど、仕事に疲れた中年男の見る夢としてはこれ以上に楽しいものはないでしょう。
（なにせ、最後には佐々木希が告白してくれるんですよ）
そんな「大人の夏休み」、これは頭をカラッポにして楽しむに限ります。
（２０１２年 ７月１９日 １０９シネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
細川徹
■出演
佐々木 ・・・ 阿部サダヲ
（その他のキャスト）
永山絢斗 貫地谷しほり 佐々木希 ピエール瀧 浅野和之
斉木しげる 大水洋介
■コピー
終点の先にパラダイスがあった！・・・のか？？？
■Ｌｉｎｋ
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