ワン・デイ
２３年のラブストーリー
これは、ヨーロッパでベストセラーになったデビッド・ニコルズの小説を、「１７歳の肖像」の女流監督、ロネ・シェルフェグが映画化したもの。
ふたりの男女の２３年間に渡る物語を、７月１５日だけを切り取って描く、異色の構成をとっています。
１９８８年７月１５日。大学の卒業式を終えた後、初めて言葉を交わした真面目な文学少女のエマと、自由奔放な人気者のデクスター。
お互いに惹かれ合いながらも、ふたりは友達の関係のままで、別々の道を歩むことになった。
翌年７月１５日。エマは作家を目指してロンドンへと引越し、デクスターはインドへと旅立って行った・・・
ふたりを演じるのはアン・ハサウェイとジム・スタージェス。
２３年の時間を、同じ俳優が演じる訳ですが、メイクや髪型で上手く演出しています。特に、普段着から、あでやかなドレスまで、様々なファッションで魅力を振りまくアン・ハサウェイには目を奪われました。
これは、強い絆で結ばれながらも、最初にボタンを掛け違えたせいで、遠回りをした恋物語。
それも、お互いの同棲や結婚、離婚を経て１０年以上も遠回りするのですから、これを順に追いかけて行ったら大変もどかしい物語になるところ。それを、１年のうち１日だけを描く、いわば“点”で描くことで、流れの中にある“綺麗でない”部分を描かずに、コンパクトに物語を成立させたのは確かに面白い、と思いました。
ふたりを繋ぐ絆が、揺れる気持ちによって伸びたり縮んで行く描写もよかったのですが・・・ふたりの周りの人物が、決して魅力的に描かれない、と言うのは、ちょっと引っかかった部分。
これだと、ふたり共、その後に出会ったパートナーに不満があって元の鞘に戻ったように見えてしまい、絆の強さを描けていないように思えるのです。
また、デクスターは、典型的な金持ちの放蕩息子キャラ。「１７歳の肖像」でもそうだったし、ロネ・シェルフェグ監督、どうやら“ダメンズ”好きのようです。
こうした、いつまでも“子供”でいる男を、成長させ、立ち直らせるのが女だ、と言う事でしょうか・・・その意味で、これはかなり女性的な映画だなぁ、と思いました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ロネ・シェルフィグ
■出演
エマ ・・・ アン・ハサウェイ
デクスター ・・・ ジム・スタージェス
（その他のキャスト）
パトリシア・クラークソン ケン・ストット ロモーラ・ガライ レイフ・スポール トム・マイソン
ジョディ・ウィッテカー ジョージア・キング
■コピー
２３年。
２３回の７月１５日。
どの１日も、あなただけを見ていた――
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