スノーホワイト
これは、グリム童話の「白雪姫」を映画化したもの。
「白雪姫」と言えば、ディズニーの劇場版アニメ第一作にもなった童話の定番ですが・・・これは、そんな原作とは大違い。
これが劇場映画初監督となるルパート・サンダース監督は、大胆な脚色で、見事なダークファンタジーに仕上げました。
昔々、ある王国のお姫様として生まれたスノーホワイト。
しかし、彼女が８歳の時に母を失い、その後、新たに王妃に迎えられたラヴェンナの陰謀により、王である父の命と、王国を奪われてしまう。
そして、スノーホワイトは王城の塔に幽閉された。
それから７年、美しく成長したスノーホワイトが自分を脅かす存在になったと告げられたラヴェンナ女王は・・・
これは、「白雪姫」の設定だけ借りて作られた、ほぼオリジナルの映画と見るべきでしょう。
これが初の長編映画となる、ルパート・サンダース監督ですが、ＣＭ出身らしいインパクトがあり、尚且つ判りやすい映像は飽きさせる事がありませんし、登場人物、ひとりひとりが“喪失感”を抱え、無くした“何か”を求めて葛藤すると言う設定は、ドラマに深みを増しました。
そして、何と言ってもシャーリーズ・セロンの圧倒的な美女っぷり。
これはもう、「美しさとは権力である」と言う設定を問答無用で納得させるものでした。
このシャーリーズ・セロン演じるラヴェンナ女王に対しては、クリスティン・スチュワートは明らかに分が悪く、「心が美しい」と言う苦肉の設定を加えて対抗するしかない有様でした。
しかし、気になったのは、この物語のビジュアル。
暗い森を越えた先にある“聖域”が、「もののけ姫」の“シシ神の森”そのまま。なんと、“シシ神”も登場します。（しかも、矢に射られる、と言う所まで同じ）
監督曰く、「キリスト教以前の多神教的な世界を描きたかった」と言うことですが・・・その「精霊たちの世界」を描くのに、「もののけ姫」の“八百万の神々”世界を引っ張って来ますか・・・
（実際、サンダース監督は参考にした事を認めているので、確信犯ですね）
そう言えば、金属を司るラヴェンナ女王に対し、スノーホワイトは生命力の源として対抗するのですから・・・これは、正に姿を変えた「もののけ姫」であるかもしれません。
なかなか見応えのある映画でしたが、ラストシーンはちょっと物足りなかったですね。
そこまで、大胆に物語を改変したのですから、最後、強引に「めでたし、めでたし」な結末にするのも如何なものか、と。
むしろ、玉座も王冠も放り出す、くらいのラストにしてもよかったように思いました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ルパート・サンダーズ
■出演
スノーホワイト ・・・ クリステン・スチュワート
ラヴェンナ女王 ・・・ シャーリーズ・セロン
（その他のキャスト）
クリス・ヘムズワース サム・クラフリン イアン・マクシェイン ボブ・ホスキンス レイ・ウィンストン
ニック・フロスト エディ・マーサン トビー・ジョーンズ
■コピー
“おとぎ話”は終わった。今、新たなる「白雪姫」伝説がはじまる
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