幸せへのキセキ
Ｗｅ Ｂｏｕｇｈｔ ａ Ｚｏｏ
これは、英国のジャーナリスト、ベンジャミン・ミーの自伝の映画化したもの。
監督は、これまでオリジナル脚本の映画を撮り続けて来たキャメロン・クロウで、それだけ、この物語が魅力的だった、と言う事でしょう。
その原題は、「Ｗｅ Ｂｏｕｇｈｔ ａ Ｚｏｏ（ぼくたちは動物園を買った）」で、それだけで中身が気になるタイトル。これに比べると平凡な邦題がつけられたものだなぁ、と思います。
“突撃コラムニスト”として世界中の危険な現場に体当たりで飛び込んで行ったベンジャミンが、妻を失ってから半年。
未だ、その痛手から立ち直れず、問題行動を起こして学校を退学になった息子にも手を焼いていたベンジャミンは、心機一転、転居して環境を変える決断をする。
そして、郊外に理想的な物件を見つけるのだが、その物件は曰く付きのシロモノ。
なにしろ、その家には、廃園寸前の動物園が付属していたのだ・・・
これまた「奇跡と感動の実話」ですが・・・映画の方は意外な仕上がり。
廃園寸前だった動物園だけど、変わり者だけど優秀なスタッフによって見事に蘇り、資金の方も、亡き妻が無鉄砲な夫の為に残しておいた資金と、会計士でもある兄に助けられてやりくりがついてしまいます。
この映画のテーマは、傷心を抱えた家族の再生の物語なのです。
妻の死によって、ばらばらになりかけていた家族の絆。喪失感に思春期の反抗心が加わって問題行動に走る息子との関係を取り戻し、自らも封印していた妻との思い出を真っ正面から受け止めるようになる――これは、決して“奇跡”を描くものではなく、何処にでもある、家族、いや人間の関係性を描いた普遍的な物語なのです。
この物語を、キャメロン・クロウ監督は持ち味とも言える、べとつかない爽やかさと、ユーモアを持って、明るく、楽しい映画に仕立てました。
また、どんな名優を持ってしても「子役と動物には勝てない」とはよく言われますが、この映画は、設定上、動物がいっぱい。しかも、マギー・エリザベス・ジョーンズが振りまく笑顔には、こりゃ、どんな女優をぶつけても勝ち目なし。
この笑顔で「ここに住むの」と言われたら、お父さんは、動物園を買ってしまうよなぁ・・・
（２０１２年 ６月１３日 横浜・相鉄ムービルにて）
（作品データ）
■監督
■出演
ベンジャミン・ミー ・・・ マット・デイモン
ディラン・ミー ・・・ コリン・フォード
ロージー・ミー ・・・ マギー・エリザベス・ジョーンズ
（その他のキャスト）
スカーレット・ヨハンソン トーマス・ヘイデン・チャーチ アンガス・マクファーデン エル・ファニング
パトリック・フュジット ジョン・マイケル・ヒギンズ
■コピー
天国から見に来てほしい。この動物園で僕らの人生が歩き出す。
■Ｌｉｎｋ
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