ＭｏｎｓｔｅｒｓＣｌｕｂ
これは、実在したアメリカの爆弾魔“ユマボマー”ことセオドア・カジンスキーを題材に、舞台を日本に置き換えた異色の青春映画。
人里離れた山奥で、ひとり暮らしをする垣内良一。
世俗を離れ、自給自足の生活を送りながら、現代の産業社会を破壊すべく、彼は小包爆弾を製作しては、企業や大学に送り続けていた。
「現代社会は人間への屈辱であり、そこからの逃げ道は社会を放棄すること、それが革命だ」
そんな想いを抱いて、爆弾を作り続ける孤独な日々。
彼の兄は、そんな社会を拒絶して自殺、弟は、社会に反発してアウトローとなり、その挙げ句に死亡していた。
だが、ある晩、彼の暮らす山小屋に、事故死した弟、そして、自殺した兄が現れる――
これは、極めて内面的な映画です。
「社会」は“立ちはだかるもの”として存在しますが、その正体は描かれず、良一の爆弾がどのような影響を与えたのかも描かれません。
描写の中心は、その「社会」に向き合う良一の心の中へ中へと向かって行きます。
この映画、良一たち兄弟を通じ「両親」と言う保護を唐突に失った子供たちが、剥き出しの「社会」直面し、苦悩する様を描いた映画のように思いました。
苦悩の果てに良一が辿り着いた心境、それは「社会」を受け入れつつも、隷属することなく、自分だけの世界を持つ独立した「個人」としてそこにあること。
それは、ある意味で「大人になる」ことだと思います。
その意味で、この映画は確かに青春映画なのです。
反社会的な想い、それが望めなければ社会そのものを壊してしまおうと言う、子供じみた衝動。
それら全て雪に埋めてしまうことで「浄化」されるかのようなエンディングの描写は、さすがに綺麗事に過ぎるか、とも思いましたが・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
豊田利晃
■出演
垣内良一 ・・・ 瑛太
垣内ユキ ・・・ 窪塚洋介
Ｐ ・・・ ピュ〜ぴる
（その他のキャスト）
Ｋｅｎ☆Ｋｅｎ 草刈麻有 松田美由紀 國村隼
■コピー
その爆弾魔は、世界を愛してしまった。
■Ｌｉｎｋ
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