ドライヴ
Ｄｒｉｖｅ
これは、デンマーク人監督ニコラス・ウィンディング・レフンの新作。
男は、表と裏の顔を持っていた。
表向きの仕事は、自動車修理工場で働く整備士であり、バイトで映画のカースタントの仕事もしている。
だが、裏の顔は強盗犯御用達の逃走車ドライバー、“逃がし屋”だ。
男は同じアパートに住む母子家庭の若い主婦、アイリーンと親しくなる。やがて、服役していた彼女の夫が出所してくるが、彼は刑務所の中で借りを作り、質屋を襲う強盗に加われと脅迫されていた。
これを知った男は、彼女と子供のために強盗の際の“逃がし屋”を買って出るのだが・・・
これまでデンマークで映画を製作していたニコラス・ウィンディング・レフン監督ですが、今回は、アメリカ映画となり、主演にライアン・ゴズリング、共演にキャリー・マリガンと言う若手注目キャストを揃えて一気にメジャー化。
それでも、ハリウッドのアクションとは一風違った作風を保っているのはさすが、と言うところでしょう。
人気俳優にも頼らず、大金をかけて派手なアクションをする事もせず・・・
物語こそ、夫と子供のいる女に惚れた男が、彼女を守るために戦う、と言う、まるで西部劇の「シェーン」のようなありきたりの話なのですが、この映画、その暴力描写が凄まじい。
映画の雰囲気はどちらかと言うと静かなもので、美しい音楽と相まって詩情すら感じさせるものなのですが、この映画、そこから一瞬のうちに血まみれバイオレンスに突入するのです。
特に、それを具現化しているのは、主人公のライアン・ゴズリング演じる男。
武器らしいものは持ち歩かず、己の野獣的とさえ言える暴力性をもって人を殺す。
寡黙で、物静かな雰囲気を持つ男が、いきなり暴力を振るう・・・その静と動の切り替えの鮮やかさ、緩急の独特なリズム・・・これは、映画通をしびれさせる刺激的なアクション映画です。
（２０１２年 ３月３１日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
ニコラス・ウィンディング・レフン
■出演
ドライバー ・・・ ライアン・ゴズリング
アイリーン ・・・ キャリー・マリガン
（その他のキャスト）
アルバート・ブルックス ブライアン・クランストン クリスティナ・ヘンドリックス ロン・パールマン オスカー・アイザック
■コピー
疾走する純愛――
■Ｌｉｎｋ
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