マリリン
７日間の恋
これは、大女優マリリン・モンローと無名の若者との秘められた恋を描いた映画です。
映画の世界に憧れ、ローレンス・オリヴィエの新作「王子と踊り子」で第３助監督の仕事を得た青年コリン・クラーク。
共演の女優マリリン・モンローを現場に迎え撮影が始まるが、メソッド演技を否定するオリヴィエとの衝突や慣れない環境に、マリリンは次第にナーヴァスになり、現場に顔を出さなくなってしまう。
そんな中、マリリンが心を開いたのが、映画を愛し、そして女優、マリリン・モンローを素直に敬愛するコリンだった。
ふたりの距離は急速に接近し、ローレンス・オリヴィエも、「マリリンが落ち着くなら」と、ふたりの関係を黙認するようになっていく・・・
この映画、作中にも登場するコリン・クラークが４０数年もの間、伏せていた回顧録が元になっています。
穿った見方をすれば、よくある「私が若い頃、実は・・・」と言う老人の自慢話とも思えますが、そうやって切り捨ててしまうには勿体ないエピソードであるのは事実で、概ね語られ尽くしたと思われたマリリン・モンローについて、まだ語るべき事があったんだ、と言う感じです。
この物語で語られるのは、マリリンの意外な素顔。
“セックスシンボル”として、その肉体を主に語られるマリリンの役者としての才能と確かな演技力。
（実際、この映画の役作りの為、「王子と踊り子」を見直したミシェル・ウィリアムズは、現代でも通用しそうなマリリンの洗練された演技にびっくりしたのだとか）
表層だけしか見ない周囲の視線と、自分の力量と目指すべき所の差異に苦悩する様が描かれます。
こんなマリリン像を演じ切って見せたのがミシェル・ウィリアムズ。
若手実力派と言われながらも、これまで決して「セクシー」をウリにした事のない彼女が、まるで本人が宿ったかのように今までにない姿を見せます。
演技だけでなく、歌声までも披露。アカデミー賞には届かなかった（さすがに、大女優メリル・ストリープが相手では分が悪いか）ものの、そのそっくりぶりには感嘆しました。
（ただし、ほくろの位置が違いますね・・・肖像権の問題でもあったのでしょうか？）
ラストの安酒場のシーンも印象的でした。
カウンターでひとりグラスを傾けるコリンの元に突然現れたマリリン。
正に、天使が舞い降りたような衝撃で、誰もが呆気にとられて言葉もない――そんな「雲上人」の苦悩を描いた本作は、まるで「ローマの休日」のような内容でありながら、この先、マリリンに訪れる運命を知るだけに、観終えて複雑な心境になりました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
サイモン・カーティス
■出演
マリリン・モンロー ・・・ ミシェル・ウィリアムズ
コリン・クラーク ・・・ エディ・レッドメイン
ローレンス・オリヴィエ ・・・ ケネス・ブラナー
（その他のキャスト）
ドミニク・クーパー ジュリア・オーモンド ゾーイ・ワナメイカー ダグレイ・スコット
エマ・ワトソン ジュディ・デンチ
■コピー
メイクを落として、ヒールを脱いで、それから――秘密の恋におちた。
■Ｌｉｎｋ
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