はやぶさ
遙かなる帰還
これは、２０１０年に“奇跡の帰還”を成し遂げた、ＪＡＸＡの小惑星探査機、「はやぶさ」を巡る物語。
この「はやぶさ」については、昨年、２０世紀ＦＯＸによる映画が公開されましたが、今回の映画は、東映によるもの。
主演は渡辺謙で、いかにもな骨太のドラマが展開します。
小惑星イトカワから岩石を採取し地球へと持ち帰るサンプルリターンの実現に向けて、小惑星探査機「はやぶさ」が２００３年５月、内之浦から打ち上げられる。
その小さな機体には、プロジェクトマネージャーの山口を始め、多くの科学者や技術者の思いが込められていた・・・
「はやぶさ」の奇跡の旅路については、既にその多くが語られているので物語は判っています。
後は、それをどのように「見せる」かどうかが勝負の映画で・・・この東映版は２０世紀ＦＯＸ版よりも楽しめました。
ノリとしては、「プロジェクトＸ」に近く、青春モノの印象でまとめられたＦＯＸ版に対し、これは対象を中年男性としたような印象を受けました。
いかにも、東映の映画らしい、男臭く、ハードな雰囲気の映画で、現場の空気をそのまま持ち込んだかのようなリアリズムの中で描かれていたのは、信念と情熱を持ち、決して諦めない熱い人間たちのドラマでした。
ただ、ドラマを重視し、作り込んだ一方で、意外にも技術解説は控えめ。
（これは、むしろＦＯＸ版の方がいい）
「はやぶさ」の辿る物語の面白さには、次々に降り掛かるトラブルを、ありとあらゆる事態を想定して事前に作り込まれた用意と、運用者の機転で凌いで行く部分があると思います。
トラブルに「こんなことがあろうとは」と狼狽えるのではなく、「こんなこともあろうかと」と、全てお見通しで備えを持つ、「ここまでやるのか」と言う、日本のエンジニアの底力。
そんな、「はやぶさ」に込められた技術者魂の発露にスポットを当てて見せて欲しかった感があります。
だからこそ、その「こんなこともあろうかと」の台詞が聞けなかったのは、かなり残念でした。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
瀧本智行
■出演
山口駿一郎 ・・・ 渡辺謙
藤中仁志 ・・・ 江口洋介
森内安夫 ・・・ 吉岡秀隆
（その他のキャスト）
夏川結衣 小澤征悦 中村ゆり 石橋蓮司 藤竜也 山崎努
嶋田久作 近藤芳正 蟹江一平 笠兼三 橋本一郎 宮下裕治
増田修一朗 永倉大輔 長嶋一茂 モロ師岡 ピエール瀧
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日本の男は、あきらめない。
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