しあわせのパン
これは、三島有紀子が、矢野顕子＆忌野清志郎の「ひとつだけ」（この映画のエンディングテーマにもなっています）に着想を得て製作したオリジナル映画。
物語の舞台となるのは、北海道・洞爺湖を見下ろす月浦のカフェ「マーニ」。そこは焼き立てパンが人気の小さな店。
夫婦ふたりでひっそりと営業している店には、様々な客がやってくる。
毎日訪れる常連もいれば、ふらっとやってくる人も。
夏のある日、東京から派手な格好のひとりの若い女性が訪れて・・・
これは、一種のファンタジーと言うか、おとぎ話。
そこには地方の抱える様々な問題、厳しい環境が描かれることはありません。
描かれるのは、傷ついた心を抱えてやってくる旅人への癒やしの物語です。
北海道にほぼ１年に渡る長期ロケを敢行、移り行く四季を捉えた映像は、雄大かつ美しく、露出過多気味にも見える、独特の白っぽい映像も、この映画の雰囲気にあっています。
また、丹念に撮られた料理のシーンは、巧みなレイアウトもあって、これも見所のひとつ。
淡々とした映画で、そのふわふわと軽い物語に物足りなさを覚える人もいるかもしれません。
でも、繰り返し描かれる、同じテーブルを囲み、ひとつのパンを分け合うことで繋がる人と人・・・それが仲間であり、家族だと言うテーマは暖かく心を包みます。
おいしそうな料理の描写に加え、心を満たしてくれる物語たち・・・これは確かに心が暖かく満たされる映画です。ただ、もう少し「食いで」があるといいのに、と言うのは贅沢か・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
三島有紀子
■出演
水縞尚 ・・・ 大泉洋
水縞りえ ・・・ 原田知世
（その他のキャスト）
森カンナ 平岡祐太 光石研 八木優希 中村嘉葎雄 渡辺美佐子
中村靖日 池谷のぶえ 本多力 霧島れいか 信太真妃 イマニシケンタ
田中温子 大橋のぞみ あがた森魚 余貴美子
■コピー
わけあうたびにわかりあえる気がする
■Ｌｉｎｋ
［戻る］