Ｊ・エドガー
これは、クリント・イーストウッド監督がレオナルド・ディカプリオ主演で描く、ＦＢＩ創設者にて初代長官のジョン・エドガー・フーバーの半生を描く映画です。
物語の始まりは１９１９年。
当時の司法長官ミッチェル・パーマーの自宅が左翼過激派により爆破される事件が発生。
司法省に勤務するＪ・エドガー・フーバーは現場に駆けつけ、捜査のずさんさを見抜く。
やがて、過激派対策を任された彼は、過激派の一斉摘発に乗り出すが・・・
Ｊ・エドガーと言うと馴染みがありませんが、フーバーＦＢＩ長官と言えば、その名前を聞いた事がある人は少なくないはず。
ＦＢＩを創設、科学捜査の基礎を作り、指紋照合の為のデータベースを作ったのも、彼の功績だとされています。
現代の警察捜査の父とでも言える人物に対し、クリント・イーストウッド監督は、人々が敬い、そして恐れた人物の、決して他人には見せようとしなかった素顔に迫って行きます。
描き出されるのは、常に母親の顔色を伺い、その気に入られるように行動する、マザコン少年がそのまま大人になったような人物。
しかも、彼は、母親が忌み嫌う「男らしくない」同性愛者でもあったのです。
映画は、Ｊ・エドガーの功績よりも、母親と己の性の二律背反に悩む姿を、そして、禁断の恋を描いて行きます。
これを、グロテスクなまでに演じてみせた、ディカプリオらの好演が光ります。
また、主要キャストは、青年期から晩年まで、特殊メイクを駆使してひとりで演じ切ります。
この特殊メイクも見事なら演技も見事。特にトルソンを演じたアーミー・ハマーの演技は素晴らしいものでした。
映画は、晩年、回顧録を口述筆記させるＪ・エドガーと、回顧録の為に回想する過去のシーンを小刻みに繋いで作られています。
いささか、トリッキーな構成ながら、破綻を見せず、見事にまとめて行く辺りの見事さは、さすがにクリント・イーストウッド監督。
まったく、この人に「失敗」と言う言葉は当てはまらないのでしょうか？
これもまた、見事な映画でありました。
（２０１２年１月２９日 相鉄ムービルにて）
（作品データ）
■監督
クリント・イーストウッド
■出演
ジョン・エドガー・フーバー ・・・ レオナルド・ディカプリオ
クライド・トルソン ・・・ アーミー・ハマー
ヘレン・ギャンディ ・・・ ナオミ・ワッツ
（その他のキャスト）
ジョシュ・ルーカス ジュディ・デンチ エド・ウェストウィック スティーヴン・ルート
■コピー
だれよりも恐れられ、だれよりも崇められた男。
■Ｌｉｎｋ
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