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フィフティ・フィフティ
これは、ガンになった青年の闘病生活を笑いを交えて描く映画。
この映画の脚本家、ウィル・レイサーは、若い頃に実際にガンにかかっています。その時の経験を元にして書き上げたと言う脚本によるこの映画、勿論、ウィル・レイサーが回復しているからではありますが、「お涙頂戴」の並みの難病モノとは一味違う映画になっています。
シアトルのラジオ局に勤めるアダム。腰の痛みが気になって病院で検査を受けた所、脊髄の神経にガンが出来ていると診察された。
医師が言葉を濁していたのが気になったアダムがネットで調べてみると、５年後の生存率は５０％と判った。
心配する母親は、アダムと同居する、と騒ぎ出したが、痴呆症の父だって放ってはおけない。当面の身の周りの世話は同棲中の恋人のレイチェルがしてくれることになった。
同僚のカイルは「生存率５０％なら悪くない。カジノで勝率５０％なら大勝ちだ！」と彼なりの激励もしてくれたし、担当セラピストのキャサリンは、新人だけど若くて可愛い女性で、そんな彼女が力になろうとしてくれるし、抗ガン剤治療では、同じ治療をする患者たちと友達になれた。
ガン患者と言っても悪いことばかりじゃない。なにしろ確率は５０％なのだ。
だが、病状は好転せず、恋人との仲も怪しくなり、せっかく友達になったガン患者も櫛の歯が欠けるように力尽きて行って・・・
アダムを演じるのは飄々とした立ち居振る舞いが持ち味の若手、ジョセフ・ゴードン＝レヴィット。カイルには脳天気な役柄が似合うセス・ローゲン。恋人のレイチェルをブライス・ダラス・ハワードが演じ、キャサリンは、「マイレージ、マイライフ」での生真面目ぶりが印象的だったアナ・ケンドリックが初々しく演じます。
この映画、何と言っても脚本が素晴らしい。
笑えるコメディ仕立てと思いきや、ドラマは思いっ切りシリアスで、誰もが真剣な所に可笑しさが出る、と言う面白さ。
「ガンになると女の子にモテる」と言う、なってみなくちゃ判らない、経験に基づくネタもいいし、己の闘病生活をそのまま映し出すのではなく、己の楽天的な部分をカイルと言うキャラクターに投影、観客の視点を代行し、感情移入を促すために新人セラピストのキャサリンを配するなど、巧妙とも言える人物設定も秀逸です。
更に、ガンが人生を再生させる、と言う、逆境を前向きに捉えた見方もいい所。
この辺り、ウィル・レイサーが闘病生活中に練り上げたものなのでしょう。この経験をネタに、回復したらこれを脚本にまとめるのだ、と。
よく「病は気から」と言いますが、この脳天気とも思える、思いっ切り前向きな気持ちが、ウィル・レイサーにガンを克服させたように思えてなりません。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジョナサン・レヴィン
■出演
アダム ・・・ ジョセフ・ゴードン=レヴィット
カイル ・・・ セス・ローゲン
キャサリン ・・・ アナ・ケンドリック
レイチェル ・・・ ブライス・ダラス・ハワード
（その他のキャスト）
アンジェリカ・ヒューストン マット・フルーワー フィリップ・ベイカー・ホール
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人生、あきらめるには早すぎる。
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