カウボーイ
− ＆ −
エイリアン
これは、ダニエル・クレイグとハリソン・フォード主演の、ＳＦアクション。
タイトルだけ見ると「フレディ ｖｓ ジェイソン」や「エイリアン ｖｓ プレデター」などのＢ級映画のようですが、これは、無茶苦茶力の入った大作。キャストも豪華ですし、製作総指揮にはスティーブン・スピルバーグが当たり、パラマウントとユニバーサルが共同製作し、ドリームワークスが撮影すると言う超豪華なシロモノです。
その男が目覚めると、そこは何処とも知れない荒野だった。
腹には大きな傷があり、左手には見慣れない金属製の手かせが付いている。自分が誰なのかさえ思い出せないのだ。
男は通りがかった賞金稼ぎから服と銃を奪い取り、近くの町の酒場でウィスキーを流し込んでいると、お尋ね者の幌馬車強盗、ジェイク・ロネガンとして逮捕されてしまう。だが、彼を護送する馬車が出発する夜になって、町に謎の飛行物体が飛来。町の建物を破壊し、人々をさらって行くのだった・・・
これは、相当に本格的な西部劇。
流れ者が、衰退しかけていた町を救うというのが物語の枠組みで、ここにグッド・バッドマン（悪人が善行をして回心する）のモチーフを入れ、主人公のロマンスを入れ、有力者の親父とひ弱な跡取り息子の確執という話が入り、荒くれ者の町で神の言葉を語る型破りな牧師や、白人に育てられたインディアン（ネイティブ・アメリカンと言うべきですが、西部劇ではこの方が相応しい）の青年がいる。更に、少年の成長が描かれ、酒場での殴り合いがあり、インディアンの襲撃がある。
これぞ西部劇、と言うような描写が、これでもか、と詰め込まれているのです。
ここにエイリアンの地球侵略と、そのエイリアンに滅ぼされた別の星のエイリアンの復讐、と言うドラマを被せたのが、この映画のアイデア。
これは、確かに面白いアイデアではあるのですが・・・西部劇の本家本元のアメリカ映画の伝統で見事に作り上げられた西部劇世界に、そのエイリアンの存在が、いかにもとってつけたようなものになってしまったのが惜しい。
例えば、この復讐のドラマを、いかにも西部劇にありそうなものに仕立てるなど、折角の西部劇世界を、このアイデアに絡められなかったものでしょうか？
また、エイリアンの造形も、最近、ありがちな魚系のぐちゃぐちゃ・どろどろで、類型的に思えてしまったのも物足りなかった所です。
しかし、ダニエル・クレイグの颯爽とした“カウボーイ”っぷり、オリヴィア・ワイルドの凜とした存在感を始め、キャラクターの魅力と、アメリカ映画のお家芸、西部の熱いドラマが、そんな弱点をカバーしている感じです。
それならば、いっその事、このキャスト＆スタッフで本格西部劇を・・・と言うのも無茶な願望か。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ジョン・ファヴロウ
■出演
ジェイク・ロネガン ・・・ ダニエル・クレイグ
ウッドロー・ダラーハイド ・・・ ハリソン・フォード
エラ ・・・ オリヴィア・ワイルド
（その他のキャスト）
サム・ロックウェル アダム・ビーチ ポール・ダノ ノア・リンガー アビゲイル・スペンサー
クランシー・ブラウン アナ・デ・ラ・レゲラ キース・キャラダイン
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その正体 敵か味方か
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