ブリッツ
これは、ジェイソン・ステイサム主演のクライム・サスペンス。
監督はミュージックビデオ出身のエリオット・レスター。ケン・ブルーウンの小説を、「月に囚われた男」のネイサン・パーカーが脚色していますが、この物語の面白さは飛び抜けています。
イギリス版「ダーティー・ハリー」と言われる本作ですが、これは続編を期待したい出来映え。
物語の舞台はロンドン。
サウスロンドン署のブランドは、札付きの暴力刑事。
警官と言う身分があればこそ、犯罪者にならずに済んでいるようなものだ。しばしば暴力事件を起こし、査問委員会にかけられりするのだが、その委員を「オレを辞めさせたら何するか判らないぜ」と脅すような男だ。
そんなサウスロンドン署所轄で、警官ばかりを狙った連続殺人事件が発生。
ブランドは、新任警部のナッシュと共に“ブリッツ”と名乗る犯人を追うが・・・
札付きの暴力刑事が性格異常の連続殺人犯を追い詰めていくという内容は、「ダーティハリー」と同じ。マスコミに犯行声明と犯行予告をする劇場型の連続殺人犯や、一度逮捕した犯人が保釈されてしまうと言う展開も、「ダーティハリー」そのままです。
でも、この映画の面白い所は、ブランドだけでなく、周囲の人物も一癖あるキャラクターに仕立てていること。
上司のナッシュは、ゲイで、沈着冷静に見えるけれど、過去には保釈された被疑者を半殺しにした事もある人物。また、ブラントと親密にしている婦警のフォールズは、元ジャンキーで、未だに街のギャングと付き合いがある、など。
でも、共通しているのは、彼らは一様に問題警官ではあるけれど、悪徳警官ではない、と言うこと。
彼らは警察と言う組織の型には嵌まらないけれど、警察官としての正義を貫く意地は持っているのです。
また、犯人のキャラクターも立っていて、小心者でプライドが高く、計算高いが行動は大胆不敵と言う特異な犯人像を作り上げています。しかも、警察をしばしば出し抜くほどのしたたかさを持っているのです。
こうした好敵手を用意したからこそ、物語に緊張感が生まれる。
もう、サスペンスのお手本にしたいような出来映えで、さすがはネイサン・パーカーです。
ラストのオチも見事なもので、「その手があったか！」と言うショック、そして、思わず留飲の下がる決着にはしてやられました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
エリオット・レスター
■出演
ブラント刑事 ・・・ ジェイソン・ステイサム
ナッシュ警部 ・・・ パディ・コンシダイン
ワイス（ブリッツ） ・・・ エイダン・ギレン
エリザベス・フォールズ ・・・ ザウエ・アシュトン
（その他のキャスト）
デヴィッド・モリッシー マーク・ライランス ルーク・エヴァンス クリスティーナ・コール
■コピー
この刑事、凶暴。
ゆえに天職。
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