アジョシ
これは、自分を慕う少女を救う為に、犯罪組織相手に孤独な戦いを挑む男の姿を描いたアクション映画。
タイトルの「アジョシ」とは韓国語で“おじさん”の意味。
これ、恐らく元々は冴えないおじさんが昔取った杵柄で少女を守って戦う、と言う物語で、要は「レオン」の韓国版。ただ、“おじさん”に、人気スターのウォンビンを起用したことから、映画の印象は大分違ったものになっているように思います。
古く薄汚い雑居ビルで質屋を営むテシクは、同じビルに住む母子家庭の少女ソミに慕われている。
ある日、ソミの母親は働いているナイトクラブでドラッグの売人を襲い、麻薬を盗み出す。だが、その背後にいる犯罪組織は、違法な臓器売買も営む危険な連中だった。
彼らは、ソミの母親の住まいを突きとめ、テシクの質屋に質草として預けられたバッグの中の麻薬を奪還、さらに母子を誘拐。
テシクはマフィアによって警察に対する“囮”に仕立てられてしまう。
だが、マフィアも警察も、テシクがどんな男か知らなかった。彼はかつて軍の特殊工作員として、破壊工作や要人誘拐に従事した“殺し”のエキスパートだったのだ・・・
この映画、見所のひとつがアクションスターではないウォンビンに主役を演じさせていること。ウォンビンは決して強そうには見えないのですが（それでも見事に肉体を作り込んでいるのはさすが）、それが、多数を相手に立ち回ると言う、意外感のある演出。
それに説得力を与えるのが、思わず唸らされるアクション。
演出のリアリズムと、テシクの冷酷で執拗な性格。敵を綺麗に一撃で倒すのではなく、刃物で腕を切りつけ、動脈を切って出血のダメージを与えるとか、腱を切って自由を奪うとか・・・クライマックスのナイフでの格闘も、最後は相手のナイフを持つ手に噛みつき、もう一方の手を押さえて、ナイフで滅多突きにすると言うもの。
正になりふり構わない戦闘スタイルがリアリティを感じさせます。
また、アクションにはＣＧやワイヤーを使わず、緩急のリズムで見せる演出は、まるで往年のチャンバラ劇のよう。
最近流行の派手さはありませんが、これはこれで見応えのあるものです。
最近の韓国映画に多い、猟奇的なまでの残酷描写、女・子供にも容赦のない展開のせいで、この映画、Ｒ１５規制がかかっています。
まぁ、悪役が残酷なのはよくあることですが、この映画、主人公のテシクも、捕らえたマフィア幹部に釘打ち銃で釘を打ち込んで拷問するなどやることがエグいですから・・・まぁ、他にも麻薬に臓器売買と、確かに子供向けとは言えない内容ですが。
しかし、ウォンビン起用してこの内容・・・映画館にはウォンビン目当ての女性客も少なくありませんでしたが、これは引くんじゃないかなぁ・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
イ・ジョンボム
■出演
チャ・テシク ・・・ ウォンビン
ソミ ・・・ キム・セロン
（その他のキャスト）
キム・ヒウォン キム・ソンオ キム・テフン ソン・ヨンチャン タナヨン・ウォンタラクン
■コピー
「おじさん、守ってね」
■Ｌｉｎｋ
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