| カウントダウンＺＥＲＯ |
福島第一原発の震災被害と、その後の放射性物質漏洩により、日本では脱原発の動きが盛んになっています。
だけど、日本人にはあまり身近に感じられないことですが、世界の抱える「核の問題」は原子力発電ではなく、核兵器でした。
それは、冷戦が終わった現在でも変わらずにそこにあり、むしろ、限られた国だけが核兵器を保有していた冷戦時代に比べると、現代の方がよほど核兵器の危険度が増していると考えられるくらいなのです。
この「カウントダウンＺＥＲＯ」は、その危険を訴える映画です。
第二次世界大戦中、人類は初めて核エネルギーを手にし、それは広島と長崎への原爆投下という最悪の形で実用化された。
戦後、アメリカとソ連の２大国が大量の核兵器を装備して互いを威嚇し、恐怖均衡によってかろうじて核戦争の危機を回避し続ける、と言う冷戦状態が続いた。
２０世紀末にソ連が崩壊して冷戦は終わり、核戦争の恐怖は消え去ったかに思えた。
だが、２１世紀は、ＮＹ貿易センタービルに旅客機を突入させると言う空前のテロリズムで幕を開ける。２１世紀は、世界規模のテロ組織が、なりふり構わず無差別殺戮を行う時代となったのだ。
テロ組織にとって、核爆弾は垂涎の武器だ。あのビン・ラディンも入手を渇望し、かなえられなかった彼は、旅客機による体当たりを実施した、と言う。
確かに、現時点で核テロは起きていない。
しかしこれは、テロリストには核兵器が渡らないように、厳重な監視や管理が行き届いているからではない。
これまで運良く、そうした機会がなかっただけなのだ。あまりに杜撰な現在の核管理体制が続けば、いずれ人類史上初の核テロリズムは起きる。それは、そう遠くない未来に必ず起きる・・・この映画はそう警告します。
「核の問題」について考える際の問題点は、万が一の事態が発生した時、それがあまりにも巨大で深刻であることです。
深刻すぎる問題からは、人は無意識に目をそらせます。見なかった振り、気づかない振りをします。
福島第一原発では、津波を「想定外」のこととして問題を棚上げし、結果、あの惨事を引き起こしました。
核テロリズムを「想定外」とし続けるなら、人類は、福島原発を上回る核の災厄に見舞われることになる・・・これはぞっとする内容です。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ルーシー・ウォーカー
■出演
ナレーション ・・・ ゲイリー・オールドマン
■コピー
ゼロになるのは<核>か、それとも<人類>か――
■Ｌｉｎｋ
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