リメンバー・ミー　　
　　　　Ｒｅｍｅｍｂｅｒ　Ｍｅ

　これは、新人脚本家、ウィリアム・フェッターズの書き下ろし脚本を、「トワイライト・サーガ」の俳優、ロバート・パティンソンが気に入り、自ら製作総指揮・主演で映画化したもの。
　ニューヨークを舞台に描く、心に傷を負った若者の愛と家族の再生の物語です。

　２２歳になろうとしているタイラーの心は、苦悩と怒りに満ちていた。
　２２歳の誕生日に自殺した兄の死を未だ受け入れられずにいるタイラーは、未だ死んだ兄に向けての言葉をノートに書き留めながら、酒と煙草におぼれる怠惰な日常を過ごしていた。
　家族よりも仕事を選らんで離婚した父、父親の愛に飢えている妹・・・怒りと孤独の日々の中で、同居人のエイダンにそそのかされてつきあう事になったアリーとの出会いがタイラーの心を開いていく・・・

　ヒロインのアリーの目の前で、アリーの母が強盗に射殺されるというショッキングな場面で始まったこの映画、途中までテーマが掴めず、タイラーの苦悩の形に苛々させられましたが・・・この映画のテーマは「理不尽な死」を、どのように人が乗り越えるかなのです。
　人は何時か死ぬものではあるけれど、事故や自殺、犯罪被害などの突然の「死」の形は、周囲の人に深い傷跡を残し、苦しめ続けます。でも、人は、それを乗り越え、生きて行かねばならないのです。

　その為の力を与えてくれるのは人と人との絆であり、大事なのはまず「行動」を起こすこと。
　その訴えるテーマは判るのですが、この映画で気になったのは、最後に大きな悲劇を用意していること。
　映画の舞台はニューヨーク、そして、時は２００１年９月・・・
　悲しみと怒りを乗り越え、まず「行動」する事が大事だ、と言うテーマが、「９．１１」後のアメリカを正当化するように思えてしまうのです。
　テーマ自体は、普遍的な力強いものであるのですが、それが、「９．１１」をからめたことで政治的な色合いを帯びてしまうように思えてしまうのが気になりました。　

　（月日　にて）

（作品データ）

　■監督

アレン・コールター　

　■出演

　タイラー　・・・　ロバート・パティソン
　アリー　　・・・　エミリー・デ・レイヴィン

（その他のキャスト）
　クリス・クーパー　　レナ・オリン　　ピアース・ブロスナン

　■コピー

きみに会えて、よかった　

　■Ｌｉｎｋ

http://www.cinemacafe.net/official/rememberme/　

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