マイティ・ソー

　これは、マーベル・コミックスの映画化作品。
　北欧神話の雷神・トールをモチーフにした主人公、ソーの活躍するヒーローものです。

　物語の主役は、神々の世界アスガルドの最強の戦士、ソー。
　大神・オーディンの長子でもあるソーだが、独断で戦を仕掛けた事で父の怒りを買い、力を奪われて地球へと追放されてしまう。
　だが、それは狡猾な弟、ロキの陰謀であった。ロキは、密かにアスガルドの仇敵と通じ、王座を奪おうと企んでいたのだ。
　一方、地球に落とされたソーは、女性天文学者のジェーンと出会って・・・

　この映画の監督は、シェイクスピア劇に造詣の深いケネス・ブラナー。
　まるで、シェイクスピア劇のような王宮での後継者争いと陰謀、と言う展開は、正に面目躍如でしょうが、果たしてそれが北欧神話をモチーフにしたアメコミと言う世界観に合うものであったかどうかは疑問です。
　また、北欧神話の登場人物らしいのは主人公のソーくらいで、黒人に女性に東洋人（日本人）と言う、ハリウッドのマニュアル通りの人物配置も北欧神話らしからぬ部分でしょう。

　ただ、この映画、好人物であるソーの人柄によって救われています。
　父王には「傲慢だ」と怒られはするものの、基本的には不器用な程に真っ直ぐで、素朴。
　神様で、しかも王子様なのに、ド田舎のファーストフード店のモーニングセットに「うまい！おかわり!!」とか言っちゃう辺りも好感が持てます。
　そんなソーが、地球で恋に落ちて、成長すると言うのはほとんど青春映画のノリで、しかも、ソーを心配して集まって来る、これまた人のいい仲間たちも微笑ましい。
　
　ソーを演じるのはマッチョな若手俳優、クリス・ヘムズワース。ロキには、これまた注目の英国俳優のトム・ヒドルストン。
　しかし、ジェーン役にはナタリー・ポートマン、オーディン役にはアンソニー・ホプキンス。それに日本からは浅野忠信と、キャストはなかなか豪華。
　続編を匂わせるエンディングですが、この出来で、このキャストを再び集められるかはちょっと疑問。
　これはやはり「アベンジャーズ」への布石、と言う位置付けでしょうか？
　　

　（月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ケネス・ブラナー　

　■出演

　ソー　・・・　クリス・ヘムズワース

　ジェーン・フォスター　・・・　ナタリー・ポートマン

　ロキ　・・・　トム・ヒドルストン
　オーディン　・・・　アンソニー・ホプキンス

（その他のキャスト）
　ステラン・スカルスガルド　　コルム・フィオール　　レイ・スティーヴンソン　　イドリス・エルバ　　カット・デニングス
　浅野忠信　　レネ・ルッソ　　クラーク・グレッグ　　ジェイミー・アレクサンダー　　ジョシュア・ダラス
　アドリアナ・バラーザ　　サミュエル・L・ジャクソン　　ジェレミー・レナー　　スタン・リー

　■コピー

神失格の男<ヒーロー>
“二つの世界”の運命は彼の手に 　

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