悪魔を見た
これは韓国のスーパースター、イ・ビョンホンと、曲者役者、チェ・ミンシクの２人の競演による衝撃作。
監督は、「グッド・バッド・ウィアード」のキム・ジウン。
冬のある夜、ジュヨンという若い女性が襲われた。ハンマーで殴打されて連れ去られたジュヨンは犯された上に生きたままバラバラに刻まれた。
結婚したばかりのジュヨンの夫で、国家情報院捜査官のスヒョンは復讐を誓い、ジュヨンの父である刑事、チャンの協力を得て独自に捜査を進め、ギョンチョルという男が犯人だと突き止める。
そして、スヒョンの凄惨な復讐が始まった・・・
これは衝撃的な物語。
韓国で、２度も「上映不可」の判定を下されたのも納得出来る残虐性と救いのなさ。
この映画には、復讐という言葉に含まれる美学もなく、愛情や思いやりや人情と言った、人間が大事にすべきものもありません。
描かれるのは、人間の本能のままに行動し、欲望のままに犯し、殺人を続ける男と、憎しみと怒りに支配され、全ての暴力を肯定する男の争い。
お互い、自分以外の人間がどうなろうと構わないと言う、余りにも醜い戦いが続くのです。
物語が醜く、救いようがないのに加え、映像もエグい。
冒頭から、若い女性を生きたまま刻み、肉片と化す描写を見せ、その後も強烈なエロ・グロ・バイオレンスの描写が連続。
映像のインパクトも強いのですが、サスペンスの盛り上げも巧妙で、ここまで手に汗握り、ドキドキさせられた映画はあまりありません。
（上映後、暫くは妙な興奮状態になりました）
しかし、この映画、真に救いようがないのは、その救いのない物語を通して浮かび上がって来るもの。
それは、映画タイトルの「悪魔」などではなく、「人間」そのもの。
本能のままに行動すること、そして感情で理性を封じ込めること、その２つが、過去、人間にどれだけの悪行をさせて来たことか。
この映画は、そうした「人間」の姿を突きつけます。
何が衝撃と言って、それが一番の衝撃かもしれません。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
キム・ジウン
■出演
スヒョン ・・・ イ・ビョンホン
ギョンチョル ・・・ チェ・ミンシク
（その他のキャスト）
オ・サナ チョン・グックァン チョン・ホジン キム・ユンソ チェ・ムソン キム・インソ
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絶望の果てに、あなたは何を見るのか──
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