洋菓子店
コアンドル
これは、洋菓子店を舞台に、人々に元気や勇気を与える感動のドラマ、とのことですが・・・
その出来映えはちょっと微妙。
鹿児島から恋人の海を追いかけて東京へとやってきた臼場なつめ。
海の仕事先の洋菓子店「コアンドル」を訪たのだが、オーナーの依子によると、海は来てすぐに店を辞めてしまったのだと言う。
片道キップで故郷を飛び出し、行く宛てもないなつめは、店で働かせて欲しいと依子に頼み込むのだが・・・
これは、若者が自分の道を見つけ出すと言う典型的な青春映画の物語に、傷を抱えて挫折した中年男の再生の物語を重ねた構成。
物語的には好きな部類になるのですが・・・この映画、登場人物の性格が破滅的に悪くて受け入れられませんでした。
まず、主人公のなつめですが、許婚の男を追っかけて東京に出て来るのですが、「日本一のパティシエになる！」と言う男に対して、「アンタの事は自分が一番知ってる、アンタに才能なんかないから一緒に田舎に帰ろう」と言うのです。
これ言われたら、男なら「ふさけるな」って思うのではないでしょうか？
（映画の海は鹿児島出身ですが、九州男児ならここで殴ってもおかしくなさそう）
男が逃げ出して、東京で一から修行しよう、と言うのも当然に思えてしまい、なつめに感情移入出来ませんでした。
しかも、世間知らずで自信過剰、更に、思った事を口に出さずにはいられない性格、と・・・これはさすがに辛い。
周囲の人物も同様で、「コアンドル」の先輩パティシエの佐藤は、厨房で待機している時に調理台の上に腰を下ろしているんです。
人に出す食べ物を調理する台を尻に敷く・・・これはもう、常識の範疇で受け入れ難い。こう言う料理人の出す料理など食べたくないものです。
また、この映画を、もうひとりの主役、中年男の再生の物語として見ようにも、そちらのドラマはちと弱い。
映画の中で「ディナーの主役は、最後に笑顔を生むデザートだ」と言うけれど、この映画、主役となるだけの力がないんじゃないかなぁ・・・
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
深川栄洋
■出演
臼場なつめ ・・・ 蒼井優
十村遼太郎 ・・・ 江口洋介
海千尋 ・・・ 尾上寛之
佐藤マリコ ・・・ 江口のりこ
（その他のキャスト）
粟田麗 山口朋華 ネイサン・バーグ イアン・ムーア 武発史郎
山村美智 嶋田久作 岩井七世 あじゃ 加賀まりこ 鈴木瑞穂
佐々木すみ江 戸田恵子
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