Colorful
カラフル

 これは、森絵都の同名小説を「クレヨンしんちゃん」や「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督が長編アニメーション映画にしたもの。
 この話は、実は10年前にも中原俊監督が実写映画化していて、今回はいわばそのリメイクにあたるらしい。
 (「らしい」と言うのは、この実写版、全然記憶にありません)

 死んだ“ぼく”の魂が天上界への入り口で順番待ちをしていると、突然現れた少年にこう告げられる。
 「おめでとうございます。 あなたには、もう一度下界に戻り再挑戦するチャンスが与えられました」
 そうして“ぼく”は、小林真という自殺した中学生の体を借りて生きることになるが、真の家族は重大な問題だらけ。
 母は不倫している。父は家族から軽蔑されている。秀才の兄は真をバカにしている。問題があると言うより、家族は崩壊寸前。
 学校に行けば、小林真は劣等生でいじめられっ子。憧れている後輩の少女は援交しているありさま。
 “ぼく”にとって小林真の人生など他人事だとは思いつつ、その境遇には腹が立つやら情けないやら。
 しかし、こんな小林真の人生を生かされる“ぼく”の再挑戦はどうなるのだろうか・・・?

 この映画、地味ではありますが、結構、力の入った映画です。
 声優もジブリばりに実写俳優を多用、しかもそれが結構な豪華キャスト。
 特に、宮崎あおいの演技巧者っぷりにはびっくり。本職の声優顔負けの見事な演技で、これまでにない役柄を見事に演じています。(クレジットを見るまで気づきませんでした)
 この宮崎あおいに比べると、母親役の麻生久美子は悪くはないのだけど、声に特徴のある女優だけに、どうも役から浮いているような・・・
 また、主役の声優、冨澤風斗がヘタで・・・どうしても中学生の男の子が喋ってるように思えないのには、最後まで違和感が残りました。

 このアニメ、原監督の前作、「カッパのクゥと夏休み」と同様の地味目の絵柄です・・・アニメ的な絵柄の魅力には欠けますが、これはこれで構わないでしょう。
 だけど、この映画、「アニメイト(=命を吹き込む)」している感が薄いのが問題ではないでしょうか。とにかく、絵が活きていないのです。スクリーン上のキャラクターが、「生きている」感じがしない。
 背景を写真を加工したものにして、リアリティを増しているけれど、そんな事をするのなら、いっその事、実写でやれば、と思ってしまいました。
 確かに、自殺にいじめに援交と、内容的に問題があるのかもしれませんが、何しろ実写化の実績があるのだし、内容的に「告白」を超えているように思えません。
 とにかく、この映画には、アニメで描いた意味が感じられませんでした。 

 (月日 にて)


(作品データ)

 ■監督

原恵一 

 ■出演

 ぼく/小林真 ・・・ 冨澤風斗

 父 ・・・ 高橋克実
 母 ・・・ 麻生久美子

 プラプラ ・・・ まいける

 佐野唱子 ・・・ 宮崎あおい

(その他のキャスト)
 南明奈  入江甚儀  林愛夏  納谷六朗  藤原啓治
 矢島晶子  真柴摩利  田中秀幸  新千恵子  渋谷茂
 中尾明慶

 ■コピー

ただいま、サヨナラした世界。  

 ■Link

http://www.colorful-movie.jp/ 


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