インセプション
ＩＮＣＥＰＴＩＯＮ
これは、鬼才、クリストファー・ノーランの新作。
他人の夢の中へと潜るＳＦサスペンスです。
渡辺謙がメインキャストとして出演している事が話題になっていますが、この映画、キャストの国際色が豊かです。
主人公、ドム・コプ役のレオナルド・ディカプリオは、ドイツ系のアメリカ人、ヒロインのマリオン・コティヤールはフランス、エレン・ペイジはカナダ、名優、マイケル・ケインはイギリスで、キリアン・マーフィーはアイルランド。更に、ディリーブ・ラオはインド系で、こうして様々な国の俳優が揃う事で、国際色豊か・・・と言うより混沌とした雰囲気を生み出しています。
産業スパイのドム・コブは、ターゲットの夢の中に入り込んで秘密のアイデアを盗み出す、この道のスペシャリスト。
だが、ある日、ターゲットである実業家サイトーに気付かれるミスを犯し、依頼主に追われるお尋ね者になってしまった。
故郷で待つ子供たちにも会えない状況の中、彼の手腕を見込んで、事もあろうにサイトーが新しい仕事を依頼して来た。成功報酬は、コブの過去を消して子供たちに会えるようにすること。
子供との再会を願うコブはこの申し出を受け、“インセプション”という難しい仕事を引き受けることになった。
これはターゲットの夢の中からアイデアを「盗み出す」のではなく、逆にターゲットの夢の中に外部から新しいアイデアを「植え付ける」こと。
不可能と言われるその業を、実はコブは成功させたことがあったのだ・・・
人間が夢を見ている時間は、実際のところほんの数秒に過ぎません。その数秒の間に脳内でイメージされる雑多な情報が、目覚める直前に「物語」に再構成されているのが夢なのです。
その夢の中に潜り込む・・・その階層を降りる度に、時間は圧縮されていく・・・その時間の流れ方が異なる多層構造の中のサスペンス。さすがは、クリストファー・ノーラン、と言う所。
ただ、基本はクリストファー・ノーラン「おれルール」の人ですから、彼のルールを「そう言うものだ」と納得して、ついていかないと訳判らない事になるのではないか、と思います。
映像は確かにすごい。
すごいのだけど、そのすごい映像は、実は冒頭のシーンに集中、後半になるほど尻すぼみ感があるのが残念な所。
（ヘタすると、予告編で全部見せてしまっているんじゃ・・・？）
序盤のパリの街並みを折り畳むような、この種の映像スペクタクルがあれば、印象も違ったのかも知れませんが・・・
クライマックスの混沌を一気に収束させる大団円は、いっそ見事と言うべきでしょう。
ラスト、コマが振れる所でスパッと切ったのも絶妙の味わいでした。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
クリストファー・ノーラン
■出演
ドム・コプ ・・・ レオナルド・ディカプリオ
サイトー ・・・ 渡辺謙
（その他のキャスト）
ジョセフ・ゴードン=レヴィット エレン・ペイジ トム・ハーディ ディリープ・ラオ
キリアン・マーフィ トム・ベレンジャー マリオン・コティヤール ピート・ポスルスウェイト
マイケル・ケイン ルーカス・ハース
■コピー
犯罪現場は、お前の頭の中。
■Ｌｉｎｋ
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