運命のボタン
THE BOX
これは、「吸血鬼」（映画「アイ・アム・レジェンド」原作）で知られるリチャード・マシスンの短編小説「死を招くボタン・ゲーム」を元に映画化したもの。
監督は、「ドニー・ダーゴ」のリチャード・ケリー。
１９７６年、ヴァージニア州。
学校の教師として働くノーマとＮＡＳＡ職員のアーサーの夫婦は、ある朝、玄関前に置かれた1つの箱を見つける。
奇妙に思いながらその箱を開けてみると、中央にボタンの付いた謎の装置と「午後５時に伺います」と書かれたカードが入っていた。
５時に訪れた男は、奇妙な事を説明した。
「このボタンを押すと２つの事が起きます。ひとつはどこかで見知らぬ誰かが死にます。もうひとつ、その見返りとしてあなたに１００万ドルを差し上げます。勿論、押さなくても結構です」
ボタンを押すか、押さないか。与えられた猶予は２４時間――。
原作小説は、短編だけに、アイデアとラストの切り返しが見事な話ですが、映画の方は、これを元にスケールを大きく、膨らませています。正直、よくもここまで風呂敷を広げたものです。
ホラー仕立ての演出が鼻につく部分もありますが、ミステリアスで、スリリングな展開は最後まで緊張を途切れさせません。
この辺り、「ドニー・ダーゴ」もそうでしたが、リチャード・ケリー監督、さすがです。
膨らませた物語ですが、これが物語内の時代設定と合わせ、これが何とも７０年代のＳＦチックな味わい。
ボタンを押す、それが破滅を招く、と言う設定は、東西冷戦下の当時には切実な問題として感じられたでしょうし、「人類滅亡」と言う危機感も、この時代ならではの事と思います。
まぁ、その感覚が現代の観客にアピール出来るか、と言うと疑問もあるのですが、懐かしいＳＦの匂いのするこの作風、先日の「月に囚われた男」に通じる部分もあって、自分的には楽しめました。
後味の悪い幕切れも、いかにも７０年代ＳＦ風で、作品の印象を深めていると思います。
ただ、これ、映画は最終的に原作とは全く違う話になってしまっていますけどね・・・
（５月１４日 ＷＭＣつきみ野にて）
（作品データ）
■監督
リチャード・ケリー
■出演
ノーマ ・・・ キャメロン・ディアス
アーサー ・・・ ジェイムズ・マースデン
（その他のキャスト）
フランク・ランジェラ ジェイムズ・レブホーン ホームズ・オズボーン サム・オズ・ストーン
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