月に囚われた男
これは、サム・ロックウェル主演の本格ＳＦスリラー。
物語の舞台は、今からそう遠くない未来の月面。
その時代、人類の生活を支えているエネルギー源は、化石燃料から、ヘリウム３による核融合に移行していた。
ヘリウム３が採れるのは月面だ。月の鉱物利権を持つルナ産業は、燃料供給プラントを月に建設して、地球へのエネルギー供給を行っている。
高度に自動化された採掘プラントを管理するのはたったひとりの作業員。現在この任務に当たっているのはサム・ベル。３年の契約も間もなく切れて、妻子の待つ地球に帰還できる予定だ。
だがサムは月面で屋外作業中に事故を起こし、意識を失ってしまう。だが、彼が目を覚ますと、そこは基地の中だった。
誰が事故現場からサムを救出したのか？
サムを外出を制止する基地のマスターコンピューターを振り切り、事故現場へと向かう。そこで彼が見たものは・・・
世に「ＳＦ」と名が付く映画は多いけど、その大半は、「ＳＦ」の設定を借りたアクションものなのに対し、これはいかにも「ＳＦ」らしい映画になっています。
類似作としては、ずばり「２００１年宇宙の旅」でしょう。
宇宙の閉鎖環境で、コンピューター相手にひとりドラマが展開する、と言う設定も似ています。
何より、スリルやアクションに頼る事無く、アイデアとビジュアルで勝負、と言う辺りが、いかにも本格的な「ＳＦ」で楽しめました。
監督のダンカン・ジョーンズは、あのデヴィッド・ボウイの息子で、ＣＭなどの映像製作経験を経て今回、長編映画初監督となりました。
映画としてはかなり低予算で、出演は、ほぼサム役のサム・ロックウェルひとり。
低予算故に、ＣＧも殆ど使わず、小規模のセットとミニチュアで撮影された映画の印象は、今となっては古いＳＦ映画に似たもので、何だか懐かしく感じられてしまいました。
これ、各国の映画祭に出展され、高評価を得たものの、アメリカでは劇場公開されず、ＤＶＤスルーになってしまいましたが、日本では小規模ながら劇場公開。
でも、これは確かに一般ウケはしないように思います。
（４月１１日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
ダンカン・ジョーンズ
■出演
サム・ベル ・・・ サム・ロックウェル,
（その他のキャスト）
ケヴィン・スペイシー ドミニク・マケリゴット カヤ・スコデラーリオ
ベネディクト・ウォン マット・ベリー マルコム・スチュワート
■コピー
契約期間：３年 赴任地：月 労働人数：１人
このミッションは何か、おかしい。
■Ｌｉｎｋ
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