ソラニン
これは、浅野いにおの同名コミックを映画化した映画。
大学の軽音楽サークルで知り合い、卒業してからは小さなアパートで一緒に暮らしている芽衣子と種田。
種田はアルバイトをしながら、サークル時代に組んだバンド「ＲＯＴＴＩ」の仲間と今も練習を続けていた。一方、ＯＬとして働いていた芽衣子はある日、会社を辞めてしまい・・・
これは、音楽映画と言うよりは、恋愛物語であり、青春映画。
描かれているのは、社会という大きな流れの中でどう生きたらいいのかと悩み、苦しむ若者の姿。
それは、あまりに不器用だろうと思わされるのですが、それを、等身大の演技でスクリーンに映し出す主演の２人が、苦悩のため息さえ感じられるようなリアルなドラマとしました。
これは、そうした悩める若者が自分の居場所をみつけるドラマなのです。
種田を演じるのは、１作ごとに違った表情を見せる若手のカメレオン俳優・高良健吾。そして、ヒロインの芽衣子に宮崎あおい。
高良健吾のひょうひょうとした中にも苦悩を滲ませた演技もなかなかでしたが、圧巻は宮崎あおい。
この女優には限界ってものがないのでしょうか。
飾りっけのない少女っぽさは相変わらず、今回は、すっぴんメイクで目の下の隈まで晒し、疲れたオトナの表情も見せます。
でも、この映画で宮崎あおいの最大の見せ場は、歌は勿論、ギター初挑戦の彼女がミージシャンとしてステージに立つクライマックスのシーン。
これは凄い。
しっかり、“本物”のミュージシャンに見えるし、その歌は心を打つ。
そこまで演じる宮崎あおいには圧倒されました。
（宮崎あおいは、出演が決まってからギターと歌のレッスンを始めたのですが、映画クランクインの時には「ソラニン」を完全に弾けるまでになっていたそうです）
圧倒のステージの後の幕切れは爽やか。
辿りついた境地のささやかさと、「その後」を描かない映画に、物足りなさを感じもするけれど、現代の青春映画としては、それもあり、と言う事なのでしょうか。
（４月９日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
三木孝浩
■出演
井上芽衣子 ・・・ 宮崎あおい
種田成男 ・・・ 高良健吾
（その他のキャスト）
桐谷健太 近藤洋一 伊藤歩 ARATA 永山絢斗 岩田さゆり
諏訪太朗 歌澤寅右衛門 岡本奈月 市川しんぺー 美保純 財津和夫
■コピー
それは、二人の想いをつなぐ歌──。
切なく胸に鳴り響く、青春恋愛映画の誕生！
■Ｌｉｎｋ
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