ＣＯＡＣＨ
　　４０歳のフィギュアスケーター

　バンクーバー冬季オリンピックも開幕し、丁度、タイムリーな内容だと言う事で観て来ました。

　これは、一度は諦めたオリンピックを目指す４０歳のフィギュアスケーターの挑戦を描く映画。
　実際に現役最年長プロスケーターである西田美和が、「本物」の滑りを見せます。

　４０歳、独身のプロスケーター、倉内美和。
　プロスケーターとしてアイスショーへ出演すると共に、スケートコーチも兼業している。
　忙しくも充実した毎日だったが、心の何処かに、アスリートとして不完全燃焼の想いがあった。
　そんなある日、美和は、事故死した大学時代の後輩の娘の面倒を見る事になってしまう。更に、所属するアイスショーのチームから、年齢を理由に解雇を打診された。
　急変する状況の中、美和は大きな決断をする。
　それは、己のアスリートとしての誇りを賭け、冬季オリンピックに出場する事だった・・・

　これは、案外、真っ当なスポ根映画。主人公の年齢からして“青春もの”ではありませんが、基本的にははらの好きなタイプの映画です。
　だけど、ビデオ撮りの絵は汚く、物語も構成が荒くて、物語が動き出すまで苛々。
　しかも、様々な要素を盛り込み過ぎの物語は、煩雑でまとまりのない印象。これは、脚本を練る段階でもっと整理して欲しかった所です。

　主演の西田美和は、本物のプロスケーターだけに、スケーティングはさすが。ただ、さすがに演技は・・・まぁ、頑張ってはいるのですが。

　あと、スケーティングの妙な演出も気になりました。
　ジャンプやスピンなど、ＣＧで「高度な技」を演出しているのですが、これは不要だったような・・・
　これは映画だけに、リンクにカメラを入れ、通常見られない間近からのアングルを見せられるのです。
　選手の息遣い、迫力のあるエッジが氷を削る音、そして、間近で見るスケーティングのスピード・・・新鮮なアングルもあるだけに、そうした部分を見せるだけでよかったのではないか、と思ってしまいました。

　感嘆したのは、特別出演した荒川静香のスケーティングで、これは見事なものです。
　あと、西田美和が、ミキティと滑るシーンもあるのですが・・・これは外しているかも、と思いました。
　いかにプロの西田美和と言えども、オリンピック級のトップアスリートとは、体のキレも技の冴えも違う、と言うのが並んで比較できるだけに見えてしまうのです。

　しかし、年齢は勿論、様々な障害を撥ね退けて突き進む・・・そんな設定に不自然さを感じさせない当たり、やはり、女は強いねぇ・・・

　（２月１４日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督

室希太郎

　■出演

倉内美和　・・・　西田美和

笠井千夏　・・・　時東ぁみ

（その他のキャスト）
　小松崎夕楠　　和泉佑三子　　加藤賢崇　　新井亮　　松永幸恵
　五嶋りさ　　若菜由季　　堀まゆみ　　さかなクン　西田麻衣
　平泉成　金子昇　　伊藤みどり　　荒川静香　　安藤美姫

　■コピー

“夢をあきらめない”全ての人に捧ぐ――

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