オーシャンズ
OCEANS
これは、「ＷＡＴＡＲＩＤＯＲＩ」のジャック・ペランによるネイチャー・ドキュメンタリー映画の最新作。
海を初めて見た、「海って何？」と言う少年の問いかけに答えるという趣向で、地球上の海洋自然を紹介して行きます。
この映画、その映像自体は、あまり目新しいものではありません。
海洋ドキュメンタリーとしては「ディープ・ブルー」があり、ネイチャー・ドキュメンタリーとしては「アース」が素晴らしい出来でした。
映像自体は、そうした作品で既に目にしているのが多く、素材に新鮮味があまりありません。
ただ、この「オーシャンズ」、なかなか面白いのです。
その最大の魅力は、やはり見せ方。
ＢＢＣ製作の「ディープ・ブルー」のように生き物の生態をありのままに見せるのではなく、観客があたかもそこにいるように、クローズアップを多用した、臨場感のある映像にしているのです。
「ＷＡＴＡＲＩＤＯＲＩ」もそうでしたが、そうした“演出”故に、この映画、“作ってる”部分も少なくありません。
撮影者の作為が見えるシーンもありますし、一部のシーンは水槽内で撮影されています。
また、面白いのは「音」ですね。
海の生き物たちの生活音・・・それは決してマイクで拾えるようなものではなく、効果音として追加されたもの。
これがなかなか効果的で、観客を海中世界へと誘い込むものになっています。
こうした映像の力に比べ、ちょっと弱く感じられたのが、映画としてのまとまり。
少年の問いに対する答えとしては、いささか脈絡に欠けているようだし、エピソードも共有するテーマに欠け、寄せ集め感が強いです。
人類の環境への影響や、温暖化防止の重要性、そして生物多様性の維持などのテーマも持たされてはいますが・・・どれも映画の骨格になるに至らず、映像の迫力と巧みな演出で押して見せるだけの映画になってしまっているように感じました。
（１月２４日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
ジャック・ペラン ジャック・クルーゾ
■出演
日本語版ナレーション ・・・ 宮沢りえ
（その他）
ジャック・ペラン ランスロ・ペラン
■コピー
生命<いのち>の飛ぶ空。
■Ｌｉｎｋ
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