風が強く
吹いている
これは、正月恒例のスポーツイベント・箱根駅伝をテーマにした物語。
直木賞作家・三浦しをんの同題小説を、小出恵介、林遣都ら若手俳優の共演で映画化したものです。
監督は、これがデビュー作となる脚本家の大森寿美男。
寛政大に入学した、天才ランナー・カケル。
高校で起こした不祥事を背負い、孤独に走るカケルに目をつけた４年のハイジは、彼が寮長を務める竹青荘に「賄い付きで家賃３万円」を餌に入居させた。
変わり者揃いの竹青荘が、実は寛政大・陸上長距離部練成所である事をカケルが知ったのは歓迎会の時。
そしてハイジは、カケルを含め部員僅か１０人の陸上長距離部で、大学陸上長距離の頂点、箱根駅伝に出場すると言い出した・・・！
はらは、毎年箱根駅伝を観続けて２０年以上。
ＴＶ観戦は勿論、コースが自宅の近くを通るせいもあって、沿道まで応援に出掛ける事もあります。
それだけに、違和感を感じないか、と懸念していたのですが、それは杞憂に終わりました。
出場校はいずれも架空の大学ですが、現実の出場校のユニフォームに似せてあり、現実の駅伝の映像と巧妙に組み合わせる事で、違和感なく映画世界の箱根駅伝をスクリーンに再現しました。
実は、交通量の多い国道１号でのロケは殆ど認められなかったので、似た風景の場所を探して撮影したのにも関わらず、ここまで再現して見せたのには正直、感心しました。
あと、特筆すべきは林遣都の美しさ。
元々、男としては目が大きく、中性的な美少年ではありましたが、この映画の林遣都は、大人らしく逞しくなりました。
走る姿のフォームは美しく、躍動感に溢れ、澄んだ瞳と凛とした表情には、「こんな美しい人間がいるのか」と、（変な意味ではなく）惚れ惚れとしました。
僅か１０人、補欠０の寄せ集め集団が、大学陸上エリートに挑むと言う物語は、いささか現実味を欠きはするものの、スポ根モノとしては定番とも言えるもの。個性的なメンバーもいいし、エピソードも面白い。
ただ、物語が駅伝に迫って行くにつれ、そうした作り事の物語がどうでもよくなって来ます。
ただ走る。
寡黙に、孤独に、それぞれの思いを胸に秘めて走り続ける彼らの姿こそが、何よりも魅力的で、誰よりも雄弁に駅伝の魅力を語ります。
それは、ただ走るだけで、毎年、熱いドラマを生み出し続ける箱根駅伝を魅力を、あらためて思い知らしめるものでした。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
大森寿美男
■出演
ハイジ：清瀬灰二 ・・・ 小出恵介
カケル：蔵原走 ・・・ 林遣都
王子：柏崎茜 ・・・ 中村優一
ニコチャン先輩：平田彰宏 ・・・ 川村陽介
神童：杉山高志 ・・・ 橋本淳
ユキ：岩倉雪彦 ・・・ 森廉
キング：坂口洋平 ・・・ 内野謙太
ムサ：ムサ・カマラ ・・・ ダンテ・カーヴァー
ジョータ：城太郎 ・・・ 斉藤慶太
ジョージ：城次郎 ・・・ 斉藤祥太
（その他のキャスト）
和久井映見 高橋ひとみ 近藤芳正 寺脇康文
鈴木京香 水沢エレナ 五十嵐隼士 渡辺大
津川雅彦
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俺たちはつかんだ。人生を変える、一歩を。
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