ノウイング
ＫＮＯＷ１ＮＧ
これは、ニコラス・ケイジ主演のミステリアスなサスペンス。
予告編を観た印象では、この映画を、ＳＦパニックものと思う人も多いと思いますが、実は、ＳＦと言うよりも宗教、サスペンスよりホラーの色彩が強い映画です。
（予告編を「見せ過ぎ」と思っていたのですが、その正体を全然見せていなかったと思い知りました）
宇宙物理学者のジョン・ケストラーは、事故で妻を失い、今は小学生の息子ケイレブと二人暮らし。
ある日、５０年前に埋められたタイムカプセルを開ける式典が小学校で行われ、ケレイブはカプセルに収められていた手紙のひとつを受け取る。それは５０年前の小学生が、５０年後の後輩に託した「未来への手紙」。それは画用紙１枚にびっしりと埋め尽くされた数字だった。
その数列の中から、ジョンは恐るべき事実を発見してしまう。
それらの数字は、過去５０年間に起きた大災害・事故などの日付や死亡者の数と、完全に一致していたのだ。ほとんどの日付は既に起きてしまった過去のものだが、未だ起きていない未来の事件を示す日付がいくつかある。この手紙が未来の出来事を正確に伝えているのなら、間もなく８１人が亡くなる大惨事が世界のどこかで起きるだろう。
そして数日後、それはジョンの目の前で起きた・・・
この映画を作ったのは、「ダーク・シティ」や「アイ・ロボット」のアレックス・プロヤス監督。
「アイ・ロボット」では控えられていた、ダークさと、宗教色が強まり、アレックス・プロヤスならでは映画になっている感じが強いです。
この映画、実はＳＦ風の味付けをした宗教映画なのです。宗教映画らしい作り込みは随所に見られます。
「世界は必然か偶然か」という学生との議論。「天国か信じられるか」という息子との対話。牧師である父親との確執。
主人公は科学者で、理論の前に信仰を失った男として描かれますが、その彼も、５０年前の小学生が残した「預言」に引き込まれてしまいます。
世の中には、理論を超えたものが存在する――それは、神の存在であり、これはＳＦ映画の姿を借りて、「神」を描こうとするものなのです。
そして、映画が描くのは、「ノアの箱船」のエピソード。
ノアは、善良さによって救われたのではなく、神の言葉を聞いて救われました。
この物語もそうなのです。
如何に善良であり、一心に神を信じていたとしても、「神」の言葉を聞いた者のみが救われ、そうでない者は破滅に呑み込まれる。
信じる、信じないではなく、「神」は人の思いを超越した所に存在するのです。
映画は、「神」の言葉を聞いた子供たちのみが救われ、主人公も、信仰に篤い父親も、そればかりか地球上の生きる物全てが破滅してしまいます。
善き者、そして信じる者も救われない、その結末はいっそ痛快と言うべきでしょう。
アレックス・プロヤスは新たな神話を描いて見せました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
アレックス・プロヤス
■出演
ジョン・ケストラー ・・・ ニコラス・ケイジ
ケイレブ・ケストラー ・・・ チャンドラー・カンタベリー
（その他のキャスト）
ローズ・バーン ララ・ロビンソン ナディア・タウンゼンド ベン・メンデルソーン
アラン・ホップグッド ダニエル・カーター
■コピー
その時、人類は何を残せるだろうか。
■Ｌｉｎｋ
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