インスタント沼
水道の蛇口を開けろ！
これは、奇才・三木聡監督の最新作。
主演・麻生久美子で描く、予測不能な映画です。
出版社で雑誌編集長として働くＯＬ、沈丁花ハナメは、人生ドロ沼状態。
担当する雑誌は企画がハズレ続けて休刊になり、仕事を辞めて心機一転出直すつもりが、今度は母親が近所の池で溺れてこん睡状態になってしまう。
そんな時、母親がある男性に宛てた手紙が見つかる。その男性こそが実の父親と知ったハナメは・・・
これは、もう、何と言うか、素っ頓狂な映画。
まるで漫談のような、と言うか、やたらテンポのいいショートコントの連続のようなオープニングで、訳の判らないうちに笑わされ、主人公がドロ沼状態でも、何故か笑ってしまう展開。
今日は、ほぼ満席の状態での鑑賞でしたが、劇場内笑いの連続でした。
主人公のハナメを演じているのは麻生久美子ですが、そのコメディエンヌぶりを再認識。
様々な表情を見せ、騒々しいまでにはしゃぎまわる・・・今まで、あまり見た事のない麻生久美子の一面を見た感じです。
また、怪しい骨董品屋の風間杜夫、パンクロッカーの加瀬亮、と言うのも、これまでとイメージを変えています。
まぁ、人生ドロ沼状態と思っていても、そう悪い事ばかりじゃない、と言うのがこの映画。
人生に行き詰まり、テンションが落ちた時には、
「水道の蛇口を開けろ！
しょーもない日常を洗い流すのだ！」
と、強引にでもテンションを上げる。
（あれで本当にテンション上がるのか？・・・まぁ、判らなくもありませんが）
とにかく、歩かなきゃ前には進まないし、前に進めば、また見えて来るものもある。
人生、そう悪い事ばかりでもないし、周りの人も、案外いい人だったりするもの。
何はともあれ、人生、泣いているより笑っている方が長いのだから、だからこそ、笑ってしまった方がいい。
素っ頓狂な中に、滅茶苦茶前向きなメッセージを盛り込んだこの映画、観終わると、随分と心が軽くなります。
（６月６日 ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
三木聡
■出演
沈丁花ハナメ ・・・ 麻生久美子
電球 ・・・ 風間杜夫
ガス ・・・ 加瀬亮
（その他のキャスト）
ふせえり 白石美帆 松岡俊介 温水洋一 村松利史
松重豊 森下能幸 堀部圭亮 江口のりこ 玄覺悠子
宮藤官九郎 はな 石井聰亙 相田翔子 伊吹吾郎
五頭岳夫 海原はるか 新屋英子 佐々木すみ江 岩松了
渡辺哲 笹野高史 松坂慶子
■コピー
ひらけ、ぬま。
■Ｌｉｎｋ
［戻る］