消されたヘッドライン
これは、イギリス・ＢＢＣで放送された連続テレビドラマを元に、ラッセル・クロウ主演で描く骨太のサスペンス・ミステリー。
物語の舞台となるのはワシントンＤＣ。
スティーヴン議員の下で働く若い女性ソニアが、出勤途中に死亡する事件が起こる。マスコミはすぐさま、議員との不倫の末の自殺と報じる。
スティーヴンの友人で地元紙記者のカルは、彼の保身に力を貸しつつ、自ら追っている別の殺人事件に不思議な接点を発見。それを追いかけるうち、やがて見えて来た巨大な陰謀を追い始める・・・
これはなかなか面白い。
事件の真相へと迫っていくスリリングな展開と、れぞれの思惑が絡み合うストーリーには引き込まれますし、手に汗握らされるシーンも幾度もあります。
現代のアメリカが抱える問題を絡め、ジャーナリズム、資本主義経済への批判も取り混ぜている辺りもよく出来ていると思います。
（この辺りは、原作の持っていた美点かもしれません）
主人公のカルを演じるラッセル・クロウは、正義と真実の為ならば、相手が何であれ立ち向かう古臭いタイプの新聞記者を熱演。いや、新聞記者と言うよりも、“ブンヤ”と言った方が似合う感じです。
裏も取らずに記事を書き散らすウェブ担当の若い女性記者に、新聞記者の何たるかを実地でもって叩き込み、時には上司に掛け合って譲らず、最後には尊敬を勝ち得てしまう辺りも、中年男を格好よさを見せつけます。
（中年太りで、長髪ぼさぼさのむさくるしいオヤジなのですけどね）
この映画、新聞での映画評が妙によいのですけど、それも当然か、と納得しました。
ただ、終盤の展開、最後のドンデン返しはちょっとやり過ぎと思いました。
それをしなければ、民間軍事企業の陰謀を暴く、と言う大きな話になり、現実とも繋がってスケールの広がりを感じさせたろうと思うのですが・・・結局、最後の最後で小さくまとめてしまったようで、ちょっと腰の引けた感を覚えてしまいました。
（５月２２日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
ケヴィン・マクドナルド
■出演
カル・マカフリー ・・・ ラッセル・クロウ
デラ・フライ ・・・ レイチェル・マクアダムス
スティーヴン・コリンズ ・・・ ベン・アフレック
（その他のキャスト）
ヘレン・ミレン ロビン・ライト・ペン ジェイソン・ベイトマン
ジェフ・ダニエルズ マリア・セイヤー サラ・ロード
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暴くのか、逃げるのか──。
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