デュプリシティ
スパイは、スパイに嘘をつく
これは、「ジェイソン・ボーン」シリーズの脚本家で、監督を務めた「フィクサー」ではアカデミー賞にノミネートされたトニー・ギルロイの最新作。
企業スパイ活動を描く、なかなか曲者の映画です。
トイレタリー用品や薬品・化粧品の分野で業界トップを争う化学工業企業、Ｂ&Ｒ社とエクイクロム社。
老舗のＢ＆Ｒを急追する新鋭のエイクロムは、なりふり構わぬ企業スパイ活動を行っていた。そんなエイクロムの情報部門に迎えられた元ＭＩ６のレイは、Ｂ＆Ｒに潜入しているエイクロムのスパイが新たに入手した情報を受け取るため、指定の場所へと向かった。
そこに現れたのは、かつて彼を罠にはめたＣＩＡのクレアだった・・・
ここに描かれるのは、企業間の情報戦。
勿論、企業活動なので、違法行為は多々あれど、殺しもなければ荒事もなし。勿論、銃撃戦もカーチェイスもありません。
でも、敵なのか味方なのか、真実なのか嘘なのか。スパイとスパイの騙し合いは、スリリングかつ巧妙で、脳味噌刺激されまくりです。
時間軸と、舞台をめまぐるしく入れ替え、巧妙な設定と思わせぶりな台詞で、観客を翻弄。これは、物語に振り落とされてしまう人も少なくないでしょう。
アクションなどなくとも、凝った物語は観る人を引きつけ、ロマンスで艶をつけ、それをベテラン揃いの俳優がしっかり見せる。
これは、かなり大人向けの映画で、これは観る人を選ぶでしょう。
そして、映画は最後に我々観客まで騙していた事を明かにします。
これにはやられました。
なるほど。さすがは曲者、トニー・ギルロイ。
これは大したもんです。
（５月１３日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
トニー・ギルロイ
■出演
レイ ・・・ クライヴ・オーウェン
クレア ・・・ ジュリア・ロバーツ
（その他のキャスト）
トム・ウィルキンソン ポール・ジアマッティ デニス・オヘア トーマス・マッカーシー キャスリーン・シャルファン
ウェイン・デュヴァル カーン・ベイケル デヴィッド・シュンブリス オレグ・ステファン キャリー・プレストン
■コピー
これは、生き残りをかけた“企業諜報合戦”
■Ｌｉｎｋ
［戻る］