風の馬
WINDHORSE
これは、チベットにおける中国政府による厳しい弾圧の実像を描く、実話を元にしたドラマ。
ちなみに、チベットでは報道規制がひかれ外国人による撮影は出来ない為、このロケは、中国政府の監視を目をかいくぐってチベットと隣接するネパールで行われたと言う映画です。
ドルシェと妹のドルカは、田舎からラサに移住して来た。
ドルカはクラブ歌手として生計を支えているが、中国人に媚びを売っているようで、ドルシェには面白くない。
そんなある日、彼らは従兄弟のペマと、再会をする。
尼僧のペマは、抗議行動によって逮捕・投獄されて拷問を受け、獄死寸前で放り出されたのだ・・・
チベットで何か起きているのか、それを知る事は容易ではありません。
この映画、脚本のジュリア・エリオットが実際にチベットで抗議行動を撮影して、中国政府当局に拘束されてパスポートとビデオテープを没収された経験を有しており、情報の持ち出しが如何に難しいか、身を以て体験しているのです。
そう言う状況で、現実を知らしめるにはこうして映画にするしかない、として製作されたこの映画は、チベット問題を正面から捉えた衝撃作として、映画としては勿論、様々な政治的論争をも引き起こしました。
ただ、 映画が撮影されたのは１９９８年ですが、ここ日本では、中国に遠慮してか長年公開されず、昨年、北京オリンピック開幕にあわせて起きた大規模な抗議行動で、中国のチベット弾圧が注目された事により、漸く公開になったようです。
実際、漠然と知ってはいても、こうして実状を描かれると、それは衝撃的。
エピソードの殆どは製作者が実際に体験したか、チベットで見聞きした事実に基づくものだ、と言う事が、この物語に凄みを与えています。
映画としての出来はよくなく、ビデオ撮りされた映像にも違和感がありましたが、しかし、その内容は重く、物語にぐいぐいと引き込まれました。
（映画途中で、自分が何処にいるのか判らなくなったくらい、のめり込んで観ていました）
昨年、オリンピックにあわせた抗議行動によって、国際社会はチベットに注目しました。
でも、オリンピック終了後、その関心は薄れつつあります。
だからこそ、それを知る事が必要なのではないでしょうか。
（５月１日 アップリンクＸにて）
（作品データ）
■監督
ポール・ワーグナー
■出演
ドルジェ ・・・ ジャンバ・ケルサン
ドルカ ・・・ ダドゥン
ペマ ・・・ 公開不可
（その他のキャスト）
ニマ・ブーティ ペマ・チョーキィ ゴルキャブ
リチャード・チャン リュウ・ユウ テイジェ・シルバーマン
■コピー
チベット
自由への祈りを風の馬（ルンタ）に乗せて
■Ｌｉｎｋ
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