ザ・バンク
−墜ちた巨像−
これは、金融機関の大規模な不正融資問題を巡る社会派アクション・サスペンス映画。
国際的なメガバンク・ＩＢＢＣの不正融資の捜査中のＮＹ検事局の調査員が、共同捜査中のインターポール捜査官ルイ・サリンジャーの目の前で殺される。
ＩＢＢＣは、自分たちにとって不利益な人間を口封じの為に殺害しているのだ。こうした殺人は、これまで、すべて事故として処理されていた。
ＮＹ検事局の検事補ホイットマンは、サリンジャーと共に調査員を手にかけた殺し屋を追う事にした。そこを突破口にして、ＩＢＢＣ中枢に切り込む作戦だ。
ＮＹで殺し屋を追い詰めたサリンジャーだったが・・・
この映画、金融機関の犯罪という本来なら地味な素材を、殺し屋部隊と刑事たちが大銃撃戦を繰り広げるアクション・エンタテインメントに仕立てたました。お金や情報のやり取りという絵になりにくそうな素材を、武器の秘密売買や暗殺といういかにもキナ臭い素材と結びつけた視点としては面白いと思います。
しかし、これは決して絵空事という訳ではなく、劇中に登場するＩＢＢＣには、実際に、世界各地の独裁者やテロリストたちに資金供給を行っていたＢＣＣＩというモデルがあるのです。（ちなみに、ＢＣＣＩは１９９１年に経営破綻）
実際、大手の金融機関がインチキまがいの商売をしていたことは、昨年からの金融パニックが立証しているとも言え、大手金融機関を信用が失墜した現在、この映画の内容は真実みを帯び、背筋が寒くなる思いです。
ただ、この映画が惜しいのは、映画をエンターテイメントにしようとしてか、過剰なアクションを盛り込んでしまったこと。
確かに、ＮＹの観光名所でもあるグッゲンハイム美術館での大銃撃戦など、アクション映画としては、見所と言えるのでしょうが、その分、現実に起きうる物語としてのリアリティを映画から奪ってしまったのも事実。
この辺り、もっと現実味を与えて欲しかったように思います。
派手なアクションなどなくても、幾らでもサスペンスを盛り上げられる物語なのですから・・・
また、中盤でそこまでやってしまった割には、終盤の盛り上げがいまひとつ。
決着のつけ方含め、何となく中途半端な印象を行けました。
（４月１０日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
トム・ティクヴァ
■出演
ルイ・サリンジャー ・・・ クライヴ・オーウェン
エレノア・ホイットマン ・・・ ナオミ・ワッツ
（その他のキャスト）
アーミン・ミューラー=スタール ブライアン・Ｆ・オバーン ベン・ウィショウ
■コピー
真実さえ、取引されるのか。
■Ｌｉｎｋ
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