チャーリー・バートレットの
男子トイレ相談室
人に言えない悩みは、チャーリー・バートレットに相談しようぜ！
資産家のお坊ちゃんで、学業成績も優秀なチャーリー・バートレットは１７歳の高校生。
しかし、チャーリーには「何をしてでも人気者になりたい」という困った性分があった。そのおかげで次々に問題行動を起こし、入学した名門私立学校は片っ端から退学処分。
いよいよ受け入れてくれる学校がなくなったチャーリーは、自宅近くの公立学校に通うことになる。
だが良家の子女が集まる私立校と違って、公立高校は異世界。チャーリーは浮き上がってしまって溶け込む事が出来ない。
だが、精神科医から処方されたリタリンでハイになれることを知ったチャーリーは、リタリンを他の生徒たちに売りさばいて一躍学校内の人気者。精神科医から次々に薬物をゲットするチャーリーが薬を配布する男子トイレの前には、男女を問わず生徒たちの長蛇の列が出来るようになった・・・
映画はコメディ仕立てで、随所に仕掛けられたギャグに笑いを誘われる事も多いです。
また、暴力をふるう生徒との駆け引き、いじめられっ子への励まし、ガールフレンドとの初体験、学校の体制への反抗、親との葛藤など、学園ドラマにありがちなモチーフも一通り揃っています。
ただ、薬物服用を肯定的に描いているようにも思えて、その辺り、どうしたものかと思いましたが。
でも、この映画が、単なる学園コメディで収まらずにいるのは、その背後に、真剣で真面目なメッセージが仕込まれている事。
人間、誰もが、「本当の自分」を模索しています。
今、いる、ここが自分のいるべき場所なのか、そして、自分とは何者なのか・・・
チャーリーは、最初、金儲けの為にカウンセリングの真似事をして金を貰って話を聞き、薬物を渡していました。
それが、やがて人の人生を受け止め、変える事になってしまう。
そうして、チャーリーに相談をした人は、なりたかった自分、本当の自分を取り戻して行くのです。
アメフト部の主将は、アートに転身し、人気者のチアリーダーは、普通の女の子になり、乱暴者の不良は、身なりを整えて女の子をデートに誘う。そして、いじめらっ子には才能を引き出して、自分の居場所を見つける・・・
では、チャーリーは？
ある理由から、誰にも頼らず、人から必要とされ、みんなを守る事に務めて来たチャーリーは、「ぼくは子供だ」と認める事で、自分の人生をつかみ取るのです。
漠然と、みんなに必要とされる、と言うだけでなく、自分に何が出来るのか・・・そこに向き合い、自分の人生を決めたチャーリーの選択に感動します。
チャーリーを演じるのは、アントン・イェルチャン。
子役出身で、知名度は高いとは言えず、他も売り出し中の若手俳優中心。こうした映画の場合、知名度のある大物を入れると映画の格が上がるものですが、この映画では、それをロバート・ダウニーＪｒ．が担っています。
こうした配慮も判っているなぁ、と思いますね。
（４月５日 ヒューマントラストシネマ文化村通りにて）
（作品データ）
■監督
ジョン・ポール
■出演
チャーリ・バートレット ・・・ アントン・イェルチャン
（その他のキャスト）
ホープ・デイビス カット・デニングス ロバート・ダウニーＪｒ．
■コピー
彼はいつも君を待ってる――あの場所でね。
■Ｌｉｎｋ
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