「幻のスーパーカー」
福野礼一郎
（１９９８　双葉社）

　自動車評論家・福野礼一郎氏による、「スーパーカー」２３台についての解説をまとめた本です。
　この手の本だと、クルマは違えど切り口が同じになってしまって、１冊読み終える頃には飽きてしまう本も多いですが、歴史から、メカニズムから、人物から・・・と切り口が多様で飽きさせません。
　しかも、福野氏自体、知識は豊富だし、文章もよく、さらに挿し絵（最初は由良拓也氏辺りが描いているのかと思った程、上手い）までこなす多才ぶり。

　スーパーカーなんて、確かに、一般の人にとっては無縁の存在な訳ですが、福野氏曰く、それは、
　「地上スレスレをフライパスしていくジェット戦闘機」
　のようなものであり、
　「ただ凄い。
　　あんなものがこの世にあると言うだけで素晴らしい」
　で、男の子の血を騒がせるものである、と。
　・・・こう言うのって判るなァ。(*^^*)

　興味深いエピソードもたくさんあります。
　例えば、カウンタックと言うクルマ、空力的にはてんで駄目で、１５０km/hを超えるとリフトが始まり、２００km/hだと何となく走りが心もとなってくる・・・とか。
　・・・まぁ、確かに、ランボルギーニなんて、元はと言えばトラクター屋、日本で言ったらイセキみたいなメーカー。
　トラクターよりまともなスピード出すトラックを造ってるいすゞでも風洞なんざ持っちゃいないと言うのに、ランボルギーニにそんなモン、ある訳ないよなぁ・・・って言われりゃそう思うのですがね。(^^;
　他にも、歴史的・メカニズム的にも面白い話題が盛り沢山。
　なかなか読み応えのある１冊でした。

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