「征途」

佐藤大輔
（１９９３　徳間書店）

　これは、いわゆる「仮想戦記」ものの中では有名な作品です。
　作者の佐藤大輔氏は、元ゲームデザイナーで、その知識と経験を活かして緻密なシミュレーション小説を発表しています。
　「征途」は佐藤氏の代表作と言ってもいい作品ですね。
　物語は、レイテ沖海戦で、栗田艦隊が謎の反転を行わず、レイテ湾に突入して、マッカーサーを敗死させた所から歴史が変わり始め、南北に分割占領された日本の戦後史を描くと言う、仮想戦記と言うより、歴史改変に近いスケールの大きな作品になっています。

　物語の主役は・・・「やまと」じゃないですかね、これは。(^^;
　この世界では「大和」は沈まず、戦後も自衛隊により北海道、ベトナム、湾岸、と戦い続けます。
　（これを某所で「戦艦版『フォレスト・ガンプ』」と評した人がいましたが・・・(^^;）

　架空の戦後史ですが、著名人が史実と別の役割で登場するのも見所のひとつ。
　あと、佐藤氏はアニメねたが好きで、結構パロディとなる部分を散りばめてあります。
　好きな人なら、思わずニヤリとする部分がある筈です。

　内容は、とにかく充実（濃い、です）。
　お勧めの作品です。

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