「慎治」
今野　敏
（1997　双葉社）

　をを、面白いではないか、コレ。(*^^*)

　タイトルは主人公の名前から。
　同じ名前の、某シンジくん同様、おとなしくっていじめられっ子の中学２年生（この設定は確実に影響を受けていると思うが(^^;）の慎治が、いじめっ子・３人組に暴力で脅されて万引きをする所から物語は始まります。

　学校と家庭の往復だけで、逃げ場も、相談する相手もない主人公は、思い詰めて自殺まで決意するのですが、万引き現場を偶然に目撃してしまった担任教師によって、学校と家庭以外の別の世界（コレがいわゆる「オタクの世界」と言うのが何とも・・・(^^;）を知り、生きる気力を取り戻すまでが導入部。
　更に、万引き現場を撮影したビデオを報復措置として販売しようと言うビデオショップの店長から、サバイバルゲームでビデオを奪取するのが後半の見せ場となっています。

　主人公は、彼を「大人」として扱う担任教師から認められたことで自信を持ち、サバイバルゲームの訓練で得た格闘技の技を活かしていじめっ子に対抗、最後は打ち負かしてしまいます。

　この辺りの展開は、正に「ビルディングスロマン（成長物語）」の典型なのですが、何せ、彼の回りにいる大人は両親を除けばとんでもなく「濃い」オタクばっかり(^^;で、彼が得る知識も、「濃ゅ〜い」オタク知識ばっかりです。
　（そもそも、担任教師自身、主人公の悩みに対し、まともに相談には乗らず、自宅に連れ込んで、「ガンダムワールド」の解説をするのだ。
　　・・・ま、話題に困った時にはオタ話、と言うのはオタクに共通した習性で、この辺りは非常に得心が行く(^^;ｵｲｵｲのだが・・・）
　ガンダムワールドの解説から、ガンプラの改造テクニック、更に銃器や格闘技の蘊蓄まで、一体、コレは何の本だと思うくらい。(^^;
　まぁ、語りたがるのも又、オタクの特性ではあるんだけどね。(^^;

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